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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【物語を遊ぼう】6. 食事シーンの魅力『仕掛人藤枝梅安』 

実は拙作にはよく食事のシーンが出てきます。
『清明の雪』では、龍の寺で2人が精進料理をいただいたり、最後の方で祇園の某料亭(モデルがあります……ってしかもほとんどまんまの名前で出ている……すみません。ちょっと手が出ないような料亭ですが)で夕食をいただくシーンがあったり。
『海に落ちる雨』では、代議士に呼ばれて食事、調査事務所の連中と食事、ヤクザの倅と食事、とにかくやたらと食事の場面があるのですね……

食事シーン。実は結構好きなんです。
先にも書きましたが、『京都殺人案内』の音川家の夕食(鍋率高し)、藤田まことさんつながりで言えば中村主水宅の食事シーン(必ず落ちに出てくる)、ついでに藤田まことさんつながりで言えば『剣客商売』の秋山氏が若―い嫁の作ったご飯を食べているシーン(こっちはついでに食材までそのあたりを走り回っているし)、ホームドラマには欠かせないシーン。

よしながふみさんは、ついに料理からごはんシーンまで漫画にされてしまったし(『きのう何食べた?』……ゲイカップルの日常を描いた漫画で、メインはご飯のレシピじゃないかと思える作品)。
食事中って、結構どうでもいい会話をしながら、でも人間関係がよく分かったり、ほろりと本音が出て登場人物が好きになったり、2時間ドラマでは堀越栄一郎さんが食事中の嫁(山村紅葉さん率高し)と娘の会話に解決の糸口を見つけたり。

その私にとって、最高の食事シーンが『仕掛人梅安』に出てきます。
私はこのシーンを読んで、本を読むのをやめて、夜にも拘らず、ねぎを買いに走りました。
例の、ヤクザさんの家or事務所の裏に住んでいた時です。
食べたくて仕方なくなり、読んでる場合じゃないわ、と思った。

そのシーンたら、たったの2行ほどだったと思います。
梅安宅に仕掛人仲間の彦次郎さんが訪ねてきて、ご飯、というより酒を飲むシーン。
『葱しかないねぇ』『じゃあそれで』みたいな淡々としたやり取り。
たしか焼いて食べるだけ。
それなのに、何だかその葱がものすごくおいしそうに感じたんですね。

『剣客商売』も『仕掛人』も池波先生の作品ですから、思えば、粋な江戸っ子、ダンディな池波先生、そして下町の味をこよなく愛した池波先生の食への想いが、たった数行のシーンからこぼれ出ていたのかもしれません。
それに、仕掛人という孤独で先行きは地獄と覚悟した仕事をしている二人。
友情、仲間意識と、そしてテレビの仕事人でも出てくる、たまにある敵対意識や憤り。
そんないろいろな思いを持っている二人の間にある葱。
物語や人物の背景を感じながらの食事シーンだからこそ、たった数行で私を夜のスーパーへ走らせたのでしょう。

そういえば、昔、今昔物語? 吾妻鏡? 平家物語? なんだったか忘れましたが、酒飲もうと思ったらアテがなくて、戸棚を開けたら皿にこびりついた味噌だけがあったので、それで飲んだ、ってなシーンがあったように思うのですが、その味噌がすごくおいしそうに思えました。

そう、本当に旨い、と感じさせる食事シーンは、1行でいいんですよね。
難しいですね。

こんなお話、いや食事シーンを書きたい。
読んでる人が、本を読むのをやめて、食材を買いに走るようなシーンを書きたい。
そう思いながら、今日も私は食事シーンについつい無謀な挑戦をしてしまうのであります。

参考までに。
葱の苦手な人もいると思うのですが、葱を焼くとき、切った葱を縦に置いて焼いてください。
甘みが増して美味しいのです。


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Category: 物語を遊ぼう(小説談義)

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