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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

【2017 scriviamo!参加作品】サバンナのバラード 

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八少女夕さんのscriviamo!に今年も参加させていただくことにしました。毎年大人気のこの企画、今年はますます参加者も増えて、夕さんも大変だろうなぁ~と思っているうちに出遅れてしまいそうになっておりました。今日は一念発起して書き始め、一気に書き上げたのはいいのですが、さっきまた一度、前置きに書いた記事を飛ばしてしまって、真っ青です(@_@)
気を取り直して。

毎年、あれこれ悩むのも楽しいのですが、ここのところ、P街のあの一族にちょっかいを出したり(私じゃなくてトトが!ということにしようっと…【海の青・桜色の風】)、奥出雲の神様に祟られそうなことをしてみたり(【龍王の翡翠】)、夕さんを困らせているのか、怒られる手前のぎりぎりにチャレンジしているのかというような気もしなくはないのですが、今年はかなり大人しめです(多分)。

このネタはもともとクリスマス用に準備していたのですが、時間が無くて断念したもの。でも、この際、クリスマスはメインの設定ではなかったので外しました。
もちろんのこと、私はアフリカには足を踏み入れたことがありませんので、全くの想像です(@_@) 夕さんに「サバンナはそんなとこじゃないわよ」ってだめ出しをもらいそうですが、それを覚悟の上で、イメージを膨らませて書いてみました^^; 
夕さんのところからお借りしたのは、【ニューヨークシリーズ・郷愁の丘】から、既にニューヨークではなくケニアかイタリアに行っちゃっているかもしれない彼女と、彼女の恋人候補と思われるシマウマの先生と、ナイロビの旅行エージェント氏。今回はほんと、ほぼ名前だけなので、ご迷惑をおかけしていることはないと思われます。

こちらの方の主人公・奈海(なみ)は、初出。うちにもカメラマンがいるわ~と時々つぶやいていたのですが、本人の登場はなかなかチャンスがありませんでした。
ところで、彼女の名前は、彼女が奈良の出身で、海のない県で海洋写真家であった父親がつけました。彼女のお祖父さんのエピソードは写真家の星野道夫氏のものですが、購読中のナショナルジオグラフィックを見ても、本当にカメラマンってどこまで行くんだろう。そのおかげで素晴らしい世界を見ることができる、有り難いけれど、気をつけて行って頂きたいなあと思います。

このカテゴリが『ピアニスト・慎一シリーズ』に入っているわけは、読み始めたらすぐに分かるのですが、物語自体を読んでいただく際には何の基礎知識も必要なく、ただ女の絆物語、と思って読んでいただけたらと思います。
♫ た~てのいとはあなた~ よ~このいとはわたし~ の世界?
ただし、このシリーズの冠がついているからには、クラシック音楽は必須。今回の曲は、ショパンのバラード第1番。【死と乙女】でも使ったので、ちょっと悩んで、第4番と迷ったのですが、第1音がずんとくる方を選びました。
(BGMにされる方は、続きを読むを開けてくださいませね)
実は書き始めたときはノクターンの20番を想定していたのですが、なんだか『戦場のメリー・クリスマス』ですっかり悲痛なイメージに傾き過ぎちゃったような気がするので(でも確かに、これは人生のレクイエム。私の中では、緒方拳さん遺作・中井貴一さん主演『風のガーデン』なのですけれど)、今回は断念。いつか使おうっと。

少し長いのですが、途中で切るのも間抜けなので、そのままです。ご容赦ください。


【サバンナのバラード】


 車体の塗装があちこち剥げて錆がついている四輪駆動車の中から、ショパンのエチュードが聞こえてきた。
 奈海は、ファインダー越しに見ていた巨大な夕陽から目を上げて、振り返った。土埃のせいで赤茶に汚れていた白い四輪駆動車は、大地に沈みゆく太陽でオレンジ色に燃え上がっている。
 運転席では、帽子を深く被ったフランス人の医師が、背もたれを倒してゆったりとくつろいでいた。ナイロビで修理してもらったカーステレオは、彼の休息のために最も重要なアイテムだったようだ。

 三年前まで、世界各地の難民キャンプで寝る暇もないくらいに働いていたフランス人医師、ネイサン・マレは、先日四十になった。祝ったのは、奈海と、無口で愛想の悪い現地コーディネーター兼看護師、それに赤い砂埃と、ネイサンが以前所属していた医療援助団体から払い下げられた四駆のエンジン音だけだった。
 残念ながらその時、カーステレオは壊れていて、音楽の一つもかけることができなかったので、仕方なく奈海が日本語の歌を歌った。
 ハッピーバースディーじゃない歌にしてくれ、できれば聞いたことのない日本の歌をと言われたので、いつも落ち込んだときには聴いているんだと言ってDreams Come Trueの『何度でも』を歌った。歌詞の意味を説明したら、いい歌だと喜んでくれて、奈海が三十一になる来月には今度は僕が特別な歌を歌ってやると言ってくれた。

 ネイサンは、医療援助団体から委託という形にしてもらって、何が起こっても団体に責任は問わないという念書を書き、フリーで医療の手の届かない地域に足を運ぶようになってから、既に三年が経つ。団体の中にいる以上、ある程度の安全域に身を置かねばならず、彼の理想とするものに近づくことができなかったのかもしれない。この一年はナイロビを基点にして、ソマリア難民キャンプやその周辺を回っていて、まさに砂漠に水滴を垂らすような仕事を黙々と続けていた。
「こういうのを、無謀っていうんだろうなぁ」
 この一年、ネイサンについてアフリカの小さな村を回ってきた奈海には、そうは思えなかった。

 ネイサンはできる限りの情報網を駆使して現地事情を確認していたし、奈海が行動を共にするようになってからは、時々都市に戻ったり、知人や友人の別荘を訪ねて数日過ごすようなこともしてくれた。
 一方で、奈海のほうも、一通りの医療処置の知識を得ることができるようになったし、少しはネイサンの助けができるようになっていた。一緒に行動している看護師は、ソマリアから逃げ出したときに一人息子を亡くしていて、そのせいなのか、あるいはただ言葉の問題なのか、あまり口を開かなかったが、黙々と仕事をこなす人だった。彼女からも奈海は色々なことを学んだ。
 もちろん、奈海がいなければ、銃声が響くような危険地域、ソマリアの国境近くにだって行くのかもしれないが、自分がネイサンの抑止力になっているなら、それもいいと思えるようになっていた。奈海は今、自分が誰かの役に立てるかも知れないことを嬉しく思うようになり、そして、その機会と居場所を与えてくれた人には何が起こっても生きていて欲しいと、心から願っていた。

 夕焼けはまさに巨大、という言葉がぴったりだった。
 不思議なことに、この大地を踏むようになってから、都会で見聞きした飾られた言葉や映像が何一つ、人生においてそれほど必要なものではなくなっていた。ここでは言葉は単純で明快だった。巨大なものは巨大、赤いものは赤い、そして美しいものは美しい。そして写真の中の映像もまた、疑問を挟む余地がないほどに単純だった。
 今、太陽は地平線をくっきりと浮かび上がらせながら、その日の最後の祈りの時間を地上のあらゆる生命に赦していた。視界の両端を越えてなお、左右へ延びている地平線は、木々のわずかな凹凸までくっきりと浮かび上がらせて大地を黒く沈め、その上に壮大な空が乗っていた。色彩を表現することのできない中心から放たれた光の矢が雲に跳ね返り、オレンジの海を空に描いている。

 奈海は結局、押そうかどうか迷っていた指をシャッターから外し、祖父の形見のライカを胸元にまで下げた。どんなに撮っても、この自然には追いつけない。そう考えたら、これをファインダーの中に納めることが馬鹿げているように思えた。
 代わりに、髭面の四十男が眠っている姿をライカのファインダーに捉え、それから少し車から離れて構図を選んで、一枚撮った。彼女のフィルムにもSDカードにも、大自然のちょっとした景色とともに、この四十男と無口な看護師の横顔の記録が増えていっていた。
「や、また撮ったな。こんなむさ苦しいのを撮ってもフィルムが無駄だろう」
「そうでもないわ」
「またフィルムを探し回る羽目になるぞ」
「いいのよ。無くなったら、撮らないだけだから」
 ネイサンはやれやれというように、いつものように口髭をなでながら、呆れた笑いを浮かべた。

 まさかこれほどにフィルムもSDカードも消費するとは思わなかったので、ナイロビに立ち寄ったときにナイロビ中のフィルムを買い占めるくらいに探し回った。ネイサンはそれにずっと付き合ってくれていたのだ。
 奈海とて、自分がパリに住んでいるというだけで享受してきた数々の自由や利便について、何ら有難さも感じずに生活していたことを恥ずかしく思っていたのだが、写真に関するものだけは譲れなかった。

 それでも、ネイサンの友人だという旅行エージェントのリチャード・アシュレイは、いったいこの国ではどこからどこまでが旅行エージェントの仕事なのかと首を傾げるくらいに協力的だった。ナイロビで手に入れるべきものは、彼のおかげで滞りなく手に入れることができた。このオンボロの四駆の修理も含めて。
 それに、リチャードのおかげで、シマウマの研究者であるスコット博士と知り合うことができて、彼の別荘に誘ってもらえたし、そこで久しぶりに会話を楽しんだり、生命の危機や不安を感じずに暖かい布団で眠る夜を手に入れることができそうだった。

 リチャードは、僕はカメラマンという人種を愛しているんだと言っていたが、それはおそらく『太陽の子供たち』のカメラマン、ジョルジア・カペッリのことだろう。ジョルジアは写真集の解説欄に、リチャードの協力について繰り返し感謝の言葉を述べていた。
 彼女と自分は、同じように写真を仕事として生きているのに、ずいぶんと離れた場所にいるような気がしていた。彼女の写真展を見に行ったとき、ふと、ずっと疑問に感じていた何かが身体の奥深くではじけてしまったのだ。

 パリでファッションモデルたちのスチール写真を撮ることからスタートした奈海のカメラマンとしてのキャリアでは、これまで祖父や父の残したフィルムカメラを必要とする場面など一度もなかった。だから、形見だといって渡されていた箱を初めて開けたのは、パートナーと別れ、都会を離れることを決めた時だった。
 祖父は厳しい辺境の地で動物たちの写真を撮っていたカメラマンで、アラスカの山の中で熊に殺された。祖母も、父やその兄弟も、そんな祖父を尊敬していたが、同じように海洋写真家となっていつ帰ってくるともしれない父を待っていた母は、カメラマンという仕事を好いてはいなかったのだろう。父もまた、若くして海難事故に巻き込まれて帰らぬ人となっていた。それなのに、いつカメラマンになろうと決めたのか、自分でももう覚えていないが、これは血なのだと信じていた。

 ただ、その血が、結果的に、自身の仕事のことで苦しんでいる年下のパートナーを見捨てる遠因になってしまったことは辛かった。しかも、彼は二人の間に生まれた娘を手放したくないと主張したので、奈海は一人でアパートを出ることになり、しばらくは自分から言い出したこととはいえ、何から手をつければいいのか分からなかった。早くパリから逃げ出してしまいたいけれど、どうやって伝手を見つければいいのか知らなかったのだ。
「それなら一緒に来てみますか?」
 声をかけてくれたのは、ジョルジアの写真展で知り合ったネイサンだった。最初は一ヶ月くらいのつもりでここへやってきたのに、それから、いつの間にか一年という月日が流れている。
 
 こんな絶対的な自然の中でショパンなんて、と違和感を覚えながら、太陽が刻一刻と変えてゆく空の色彩を見つめる。修理してもらったとは言え、大地の砂を幾分か吸い込んだらしい音の悪いカーステレオから聞こえてくるショパンは、残響の秒数まで計算された都会のホールで聴くものとはまるで違っていた。
 違っているはずなのに、今、胸の奥に響いてくる振動は不思議な波長で奈海の身体を揺らし始めていた。そして、バラードのその曲のほんの第一小節が始まったときに、奈海はいつの間にか目の前の夕焼けの残照が滲んでいることに気がついた。

 それは確かに、懐かしい彼のピアノだった。
 奈海がその音を、聞き間違えるはずがなかった。
 後で、他の人からこの曲は第一主題が厄介なのだと聞いて、改めてCDでじっくりと聴いてみると確かに屈曲したバラバラのピースが散らばっているような印象を受けたが、彼の演奏にはそんなイメージはまるでなかった。それに、続く第二主題の美しい旋律がまっすぐに心に沁み込んでくるところから終盤までは、曲の盛り上がりと共に、聴いている自分の方も息を忘れるほどに心を惹かれ、そして、いつの間にか恋に落ちていたのだ。

 彼は、奈海がパリでアパートをシェアしていたイネス・ルジャンドルの弟の友人だった。
 イネスの家庭事情は単純ではなく、彼女は父親、すなわちベルリンの名士であるアルブレヒト・ニーチェには正式には認知されていなかった。母親はパリの踊り子で、娘を一人で育てていたが、イネスが十二の時に病気で亡くなってしまった。やむを得ずニーチェ家に使用人の扱いで引き取られたイネスは、文字通り天使のような外見で男たちを虜にし、女たちからは執拗ないじめを受けた。彼女の美しさを称える男たちにしても、彼女を一段階も二段階も下の階層の人間として蔑んでいることには変わりなかった。

 そんな中で異母弟のテオドールだけは、まさに姉を天使のように崇拝し愛してくれた。テオドールの初恋は、彼が類いまれなき音楽の才能に恵まれていることが判明した時点で、ウィーンへの留学という形で終わりを告げ、イネスは庇い慰めてくれる存在を失ってニーチェ家を出た。
 淑やかで華やかで優しい、天使のような顔と、絵から抜け出してきたヴィーナスのような身体の中に押し込められている鋼のような意志で、イネスはパリの町で生き抜いていた。

 彼女と初めて出会ったのは、フランスに語学留学していた奈海が、小さな雑貨屋でアルバイトをしているときだった。イネスはまだ無名のモデルで、時折雑誌に写真を載せてもらえる程度だったが、奈海は初めて目が合った瞬間から彼女の虜になった。
 ひょんなことから話をするようになり、いつの間にかルームシェアをする関係になり、やがて奈海の出自を知ったイネスが、彼女がいつも写真を撮っているスタジオに紹介してくれた。

 イネスは奈海にとっても天使だった。
 ちょうどその頃、スタジオに出入りしていた日本人の少女、ユイとも話をするようになった。少女とは言え、彼女は十五にして既に成熟した大人の女の身体を持っていた。明らかにハーフと分かる顔立ちだったが、エキゾチックで悪魔的な魅力を、唇からも目から身体のすべてから迸らせていた。それなのに、彼女はやはり「少女」なのだった。

 東洋の小悪魔・ユイと、真っ白な天使・イネス。この二人を前にしたときから、奈海はカメラのシャッターを押すのがこれほどに楽しいことなのかと思い、毎日のように二人の写真を撮るようになった。スタジオからプライベートまで、二人は奈海にとって完璧な被写体だった。やがて一枚の写真が雑誌に載ると、化粧品会社やジュエリー会社が、そのうちにファッションの最先鋒のブランド会社までが、こぞって彼女たちと契約したがった。奈海も同じように華やかな世界に巻き込まれ、一緒にパリの街を手に入れたような気持ちに酔いしれていた。住む場所も、着る服も、化粧の仕方も、全てが変わった。

「これは神の配剤かもしれないわ。私たちは運命で結ばれているのよ」
 ある日、イネスが天を仰ぐように言った。
「私の弟がウィーン交響楽団を指揮して、ユイのお兄さんがデビューするのよ。こんなことってある? もちろん、私たち三人は姉妹なのだから、ナミもこの運命に参加しなくちゃいけないわ」

 その若いピアニストのデビュー演奏会を聴きに行ったとき、舞台の上に現れた彼の身体が驚くほどに小さく見えて、思わず不安を感じたほどだった。いつも女性たちの中でも特に見栄えのあるモデルたちに囲まれていた奈海には、華やかな舞台の上で戸惑う子どものような彼の様子が滑稽にさえ見えたのだ。
 しかし、背負ったオーケストラの重圧が彼を潰してしまわないかと心配する奈海の思いをよそに、隣に座るイネスもユイも落ち着き払っていた。今思えば、彼女たちはあの演奏会の成功を確信していたのだ。

 彼が指先を鍵盤に下ろした瞬間から、その身体は突然別物に変わっていった。オーケストラの響きを、ピアノの壮麗なカデンツァが追いかけていく。曲調が壮大になればなるほど、一小節先に進むごとに聴くものを陶酔の世界に誘い込み、続く第二楽章ではこの上ない特別なロマンティシズムが居合わせる全てのものを酔わせる。そうしてオーケストラの波の上を自由に駆け回りながら、時に波を追いかけ、煽り、従え、逃れ、また戯れつつ、震えるようなエネルギーを身体から迸らせる姿は、音楽の神の光をその身体に纏っているように見えた。

 それなのに、曲が終わって立ち上がると、彼の音楽に酔いしれ押し流されて静まり返ったままの聴衆に、彼はまた不安そうな顔を向けた。それは本当に単純に出来映えを親に確認する子どものように、自分の演奏がどこか不味かったのではないかと心配している顔だった。
 もちろん、その静寂は一瞬のうちに爆発するような拍手喝采にとって替ったのだが、その幼い子どものような顔が、音楽においては自らがいつでもパトロンになろうと考える熱狂的なウィーンの音楽愛好家を刺激したことなど、彼は全く気がついていなかっただろう。

 イネスの弟、テオドール・ニーチェは若き楽聖として既に指揮者としてもピアニストとしても名を知られていたが、そのニーチェと、彼、相川慎一のデュオはその後しばらくウィーンの演奏会の華となった。ウィーンの人々は、若く情熱的で、しかも控えめで礼儀正しい才能に溢れたピアニストを、自分たちが育てた雛鳥のように愛し支えた。
 その彼が演奏会で乞われるのは、彼が最も得意としていたベートーヴェンだった。だからショパンを演奏会で聴くことは滅多になかった。奈海は音楽に詳しいというわけではなかったので、ピアノと言えばショパンだと思っていて、何気なくショパンは弾かないの、と聞いたのだった。彼は意表を突かれたような顔をして、そんなことはないけれど、誰も僕のショパンを必要としていないと思っていたから、と言った。
 彼が奈海のためだけに弾いてくれたのがこのバラードだった。

「このピアニストの演奏を一度だけ聴いたことがあったんだ。それも、コンサートじゃないんだよ。パリに帰ってコンサートホールに勤めている友人を訪ねた時にね、リハーサル室からノクターンの20番が聞えてきたんだ。足が震えてしまって、一歩も動けなくなった。最近来るようになった新しい調律師が、調律の合間に時々弾いているんだという。友人から、彼が元はウィーンで活躍していた、チケットが取れないほどのピアニストだったこと、指を痛めて若くして一線から脱落した後はもうコンサートもしていないらしくて、パリで音楽のアレンジをしたりピアノの調律を手伝ったりしているだけだって聞いてね、それからCDを探し回ったんだ」
 奈海は四駆に凭れたまま、ネイサンの横顔をそっと見た。ネイサンは、倒していた椅子から身体を起こして、四駆の窓枠に腕を預けて、すっかり沈みきった後も大地の空気を黄金に揺らめかせている太陽の名残をじっと見つめていた。
 奈海も地平線に視線を戻した。
 沈みゆく太陽は、奈海が心の中でずっと静めていた不安の波を揺らめかせた。

「彼の音楽は僕を全く裏切らなかったよ。彼はベートーヴェン弾きでね、『熱情』なんか何度聴いても震えて泣けてくるんだ。僕はあれ以上の『熱情』を他に聴いたことがないよ。ダイナミックでロマンティックで、あの若さで人生を語っているなんて。もちろん彼のチャイコフスキーやラフマニノフも素晴らしかったけれど、でも実は、僕は彼のショパンが結構好きなんだ。彼のベートーヴェンを聴いていると、波に飲み込まれそうな瞬間があるんだが、ショパンは違うんだ。少し感情を抑えて弾いている、情感が溢れすぎないように気遣っている、その間が心地よくてね。すうっと心に入ってきて、静かに僕の中で音を奏でている、自分にだけ語りかけてくれているような、そんな感じがする。もっとも、心地いいって安心していたら、結局ぐいぐいと巻き込まれて突き動かされてしまうのは、ショパンでも同じなんだけれどね。パリを離れるときに、一枚だけ何か持っていこう、と考えたら、思わずこれを手にしていた。この音楽が側にあったら、自分を見失わないで歩いて行けるような、そんな気がしたんだ」

 そう言ってから、ネイサンは突然何かに気がついたように、あぁ、と声を上げた。
「気分良く彼のショパンを聴きながらサバンナの夕陽が沈むのを見ている場合じゃない。この上また到着が遅くなると、スコット博士を心配させることになるから、先を急ごう。さぁ、乗って」
 カーステレオは今、『幻想即興曲』を奏でていた。音の悪さも気にならないくらいに、心は穏やかに満たされていた。
 助手席に乗り込むと、ネイサンの指がハンドルを撫でるようにリズムを追いかけていた。
「日本人だから、もしかして君も彼を知っているかな」
 アクセルを踏んでネイサンが尋ねた。ライトが、赤土が暗く沈んでいく中に吸い込まれていった。えぇ知ってるわ、と奈海は思った。思ったけれど、首を横に振った。横に振ったときに、涙があふれ出した。

 ここにも、彼のショパンを必要としている人がいる、そのことが嬉しくて有り難くて、そして、イネスの言葉を深く感じた。
 私たちは運命で結ばれているのよ。私たち三人は姉妹なのだから、ナミもこの運命に参加しなくちゃいけないわ。
 私は今も、彼のバラードをこんなにも愛している。そして、今私が運命を共にしたいと願い始めている人は、同じように彼のショパンを愛している。
「ナミ? どうしたんだ? 僕は何かまずいことを言ったのか?」
 ハンドルを操りながらネイサンが困ったような声で尋ねてきた。
「ううん。お腹が空いたのよ」
 隣でネイサンはまだ困っているようだった。ずいぶんと間を置いてから、うん、同感だ、という声が返ってきた。でも泣くほどなのかな、と思っているに違いなかった。


「もしもし。あぁ、まさか、あなたなの、ナミ」
「えぇ、突然ごめんなさい。今、大丈夫?」
「今、シンイチのアパートにいるのよ。あ、彼は出かけているわ。ナミ、少し話してても大丈夫なの? 電話代とか、何より電源とか」
「えぇ、今日はマリンディの知人の別荘なの。大丈夫、充電もできるし、途中で切れたりしないわ」
 しばらくごそごそと音がしていた。それからユイの声がよりはっきりと聞えるようになった。

「どうしてるのか、心配してたのよ。兄のことがあるからって、あなたが私やイネスとまで疎遠になるなんて、あり得ないと思っていたんだから。実はね、兄をここから追い出すことにしたの。それで、この部屋に私が住むことにしたのよ。だから引っ越しの準備とか色々あって、それでこっちにいるの」
「どういうこと?」
「チェコの潰れかけの小さな劇場が音楽監督を探しているのよ。ほとんど無給に近いけれど、伝統のある古い劇場なの。あなたも知っているとおり、彼にとってはピアノと同じくらいオペラは大事なんだから、ここでピアノにしがみついてぼろぼろになるくらいなら、別の世界に飛び込んでみなさいって、勝手に契約して来ちゃった」

 奈海にとっては驚くことばかりだった。何よりもユイの行動力にだ。彼女は母親を交通事故で亡くしてしてパリに来たというが、実はイタリアのある名家の当主の落胤だという噂があった。当の本人はそれについては全くノーコメントだったが、奈海が知っている彼女は、イネスと同じように、ひたすら自分の力だけを頼りに生きている、がむしゃらで精一杯で、そして外見の神秘的な冷たさとはまるで正反対の、いじらしさと熱さを秘めた眩しい女性だった。
「でもさすがにそこにレイナは連れて行けないし、私もパリからは離れられないし。それでレイナを私たちのアパートの方に引き取ろうとしたのよ。ところが、父親と母親のどっちに似たのかしれないけれど、この頑固娘、絶対ここを離れたくないっていうから、私の方がこっちに住むことになったの。もしかしてシンイチやあなたが帰ってきた時に、この部屋がなくなってたら迷子になるでしょ、ですって。五歳のチビ助の言うこと?」
「レイナ、そこにいるの?」
「えぇ、イチタロウの猫まんまを作ってるわ。替わる?」
 奈海は一呼吸置いて、目を閉じた。
「いいえ。今は」

 それ以上説明の言葉を付け加えることはできなかった。ユイもまた何も聞かなかったが、何を察したのか、この電話が切れる前に言うべきことは言わなくちゃというように話し始めた。
「ねぇ、ナミ、覚えていなかったら困るから、もう一度言っとく。私たちは運命の三姉妹なの。あなたの好きなあの曲みたいに、どんなに苦しくたって、10001回目はきっと来るって、いつか話したわよね。あなたはもしかして、こんな世界には自分は見合わないって思ったのかもしれないけれど、あなたが私たちの写真を撮ってくれなかったら、私たちは今ここにいない。他の誰かの写真じゃない、あなたの写真が認められたのは、あなたが私やイネスのことをちゃんと見つめてくれたからよ。あなたの写真が私たちの本当のところをちゃんと写していたからなの。地球のどこだっていいの、あなたの帰るところには私もイネスもいるんだから。そして私たち三銃士には守らなければならない姫君がいるんだから」

 お~い、とベランダの下からネイサンの呼ぶ声が聞えた。スコット博士に案内してもらって、シマウマを見に行く約束をしていたのだ。
 ふと、フィルムに焼き付けたはずの、サバンナの夕陽に赤く染まったネイサンの髭面を思った。
 そして、あの時、なぜ不意に寂しい思いが過ぎったのか、分かったような気がした。
 ここにやってきてから結ばれた絆は、切れてしまった過去の絆のあとを結び直したにすぎない、と思ってしまっていなかったか。フィルムは無駄なんかじゃない、この瞬間は二度と帰ってこないかも知れないのだ。そう思って不安になったからシャッターを切ったのだ。この糸も古くなったらまた切れてしまって、私にはその糸をしっかりと結びつけておく力など無いのだと、あの時、沈みゆく太陽に告げられているような気がした。

 シンイチの元を去ることを決めたとき、最初に相談したのはユイだった。シンイチとパートナーとして生活を共にし、子どもを持つに至った以上、ユイは奈海にとって義理の妹だったからだ。
 ピアニストとしてのレッドカーペットをそのまま歩き続けることのできなかったシンイチに同情はできても、荒れていく彼の生活や精神を支えるだけの力が奈海には欠けていた。それは、自分のカメラマンとしてのキャリアに自信が持てない事とも関係していた。
 華やかなモデルたちの姿をファインダーに納めながら、私が本当に撮りたいのはこんなのではないと思い続けていたのだ。だから、始めにイネスやユイの写真を認められたことで仕事を回してもらえるようになったキャリア、モデルを撮るカメラマンとしての仕事に、誇りを感じられなくなっていた。

 情熱を傾けていたことから見放された二人が一緒にいても、苦しいだけだった。
 シンイチはもっと苦しんでいた。さらに重厚な音を求められてトレーニングで重い鍵盤を叩いていた彼の小指の自由が利かなくなったとき、奈海は自分の無力を知った。その違いは奈海のような音楽の素人だけではなく、音楽の専門家の耳にだって聞き分けられない程度のものだと聞いた。むしろ、彼の音楽に深みを与えるものではないかという人もいた。だが、耳のいいシンイチ自身がその自分の音に耐えられなくなっていた。
 一体、百分の一秒以下のずれがなんなの!
 思わず叫んだ奈海を見たシンイチは、奈海が何も理解していないと気がついてしまった、そういう目をしていた。
 この人は私を必要とはしていない、ただひたすらに芸術の神に一人きりで対峙している、そして、やはりたった一人で、まだこの先に行こうとしている。音楽と向き合って、この人はなんて孤独なんだろう、そう感じてしまったのだ。
 そこに奈海の居場所はなかった。

 あの時、ユイは黙って奈海の決心を聞いて、それから微笑んだ。
「分かったわ。だったらナミにだけ、私の秘密を教えてあげる。私がどうして一生結婚しないって決めているか。私が世界で一番愛している男は、血の繋がった兄だからよ。私はあの人を生かすためなら、なんだってする。誤解しないでね。あなたに嫉妬してなんかいないわ。むしろあなたには感謝しているの。私たちと同じ運命の船に乗ってくれたこと、そしてレイナを産んでくれたこと。もしもあなたに何かがあったら、私もイネスも、あなたのところへ飛んでいくわ。それだけは確かなこと。私たちは同じ魂の船に乗って、戦っている。だからこそ、あなたの人生が、あなた自身のために先に延びていくことを、私たちは誰よりも願っているのよ」

 ゆ~い、いちたろーが~
 電話の向こうだというのに、姫君の声がずいぶんとはっきり聞こえた。
 こらっ、やさいもたべなきゃだめっ!
 馬鹿ね、イチタロウはパパのようには野菜は食べてくれないわよ。
 ユイが電話の向こうで、姫君に猫の生態について意見してから、奈海との会話に戻ってきた。
「まぁ、この姫君はもしかしたら、三銃士よりも逞しくなるかもしれないけどね。五歳にして、自分が父親の面倒を見なきゃならないと思ってるし、毎日彼にダメ出ししてるのよ。きっと多少のことには動じない女になるわ。なんと言っても、三銃士も姫君も、打たれ強いのが一番の取り柄ですもの。王子が来なかったら、自分でなんとかするだけよ。ねぇ、ほんとに、替わらなくていいの?」
 
 どこかの時点で私はあの華やかな世界に疲れてしまったんだ。
 ずっとそう思ってきた。そして、上手く繋いでおけなかった糸を思うと、自らの無力に足下から力が抜けていきそうになった。それを振り切るようにシャッターを切り続けてきたけれど、まさかそんな自分の気持ちを溶かしてくれたのが、切れてしまった糸だと思っていたシンイチのバラードだったなんて。そして、そのバラードを愛する人が、他にもいて、その人はこんなにも近くにいたのだ。
 あの燃える夕陽、絶対的な自然を前に彼のショパンを聴きながら、ネイサンがシンイチについて語った告白のような言葉を聞きながら、そして、今、電話の向こうに決して切れない運命に結ばれたユイやレイナの声を聴きながら、不意に一番大事なことが分かったような気がした。

 イネスも、ユイも、自分を信じて、ただ必死で生きているのだ。
 私が彼女たちの横顔を美しいと思ったのは、モデルとしての洗練された体つきや化粧の技術や華やかな衣装のせいじゃなかった。男たちや口さがない無責任な連中からどんな目で見られても、あの世界を生き抜いてやろうとしているイネスやユイの肌のうちから立ち上ってくる気品と気概。横顔からにじみ出る、どんな身分の偉い人間だって生きているだけでは持ちようもない信念と輝き。私が撮ってきたのは、そんな彼女たちの本当の美しさだった。
 私はこれまでの仕事にだって自信をもっていいのだ、あの運命に参加できたこと、今もまだ参加し続けていることを誇りに思っていいのだと、今ようやく過去を肯定することができたような気がした。

「ナミ?」
「今はまだ、何を言ったらいいのか分からないの」
 それでも、今はまだ。この先を歩いて行って、自分のことをちゃんと語る言葉を持つようになるまで、まだ娘とは話せないと思った。なぜなら、もう既にあの子は、私の娘というだけではないのだ。
 私たちの娘。だから私もまた、彼女と対等に語ることができる者であるべきだと思った。
 でも、彼には、この事だけは今こそ伝えて欲しい。
 今ならば少しだけ、シンイチの求めていた「その先」が分かるような気がしたからだ。

 古い絆も、決して切れてしまった訳ではなかった。そして、新しい絆は、その上に次々と結び固められていくに違いない。全ては自分がどう結び合わせていくかなのだ。
 ネイサンは言ってくれたじゃない。
 この音楽が側にあれば、自分を見失わないで歩いて行ける、と。
 ネイサンが愛してくれたあの音楽は、シンイチがあの苦しみの中で、ただの一音も無駄にしないと願いながら奏でてきた音なのだ。アフリカの大地にも負けない、苦しくても妥協を許せない、百分の一以下のその一点しかあり得ない、シンプルで絶対的な真実の瞬間なのだ。
「ユイ、ありがとう。あなたの声を聞くことができて良かった。それから、シンイチに伝えて欲しいの。あなたのバラードは、確かにこのサバンナにまで届いているわって」

 そう、だからやっぱり、私はこれからも「人」を撮りたいと思った。
 それが華やかなステージに立つモデルたちであっても、医療に手の届かないところにいる人たちに手を差し伸べようとしている無骨な医師であっても、子どもを混乱の中で亡くして行き場を失った看護師であっても、その人が確かに今ここで生きている横顔を、化粧の向こうにある心の核のようなものを、皺だらけの手の中に籠められた人生をかけた技を、太陽に焼かれながらまっすぐに顔を上げて地平線を見つめる祈りを、ずっと撮っていこうと思った。
 そしていつか、ミューズに魅入られた一人の音楽家の横顔を、繊細でいて節くれ立った力強い指先を、選ばれたものの苦悩と恍惚の狭間で戦い続ける魂の片鱗を、このファインダーでとらえる日がきたら、と願っていた。

「ナミ、シマウマが逃げて行ってしまうぞ」
「すぐ降りるわ。ごめんなさい」
 人間よりも動物の知り合いの方が多いというスコット博士と、医者だと名乗っても二度ほどは聞き返されるであろう冴えない風体のネイサン、相変わらず笑い顔ひとつ見せない看護師に向けて、奈海はベランダから手を振った。

(2017 scriviamo!参加作品【サバンナのバラード】 了)



テーマ曲は「浪花節だよ 女の人生は」って奴ですね(細川たかし『浪花節だよ人生は』)。青森の小原節の歌詞にも「津軽姉コの心意気」ってのがあります。
ちなみに「バラード」というのは、切ない恋心を歌うものではなく、単純に「物語」という意味なのですね。民謡にも「口説(き)」というのがありますが、これも男女の恋愛の色っぽい話じゃなくて「口説」=「物語」という意味。
だから、この話は単に「サバンナ物語」……(ちょっと身もふたもないタイトル)
でも物語の多くが恋愛を語っていることからも、「物語」に愛は必要なのです。うん。


ユイ(結依)は慎一の異父妹、お察しの通り父親はジョルジョ・ヴォルテラです。えっと、どうしてそんなことになってるかはまたいずれ。レイナは二代目真の母親、詩織のお祖母ちゃんです。この家系はことごとく女が強いらしいです。自ら三銃士とか言ってるし(*^_^*)
慎一のデビューはベートーヴェンの「皇帝」だったのです。もちろん、誰って、あの人のことを思っていたのでしょう……(あ、私がそう思って曲を選んだのか)。あの人の物語のタイトル自体が「Eroica」だったのですが、交響曲の方の「英雄」もまたどこかで登場するかも知れません。

ベートーヴェンの曲は、あの偏屈そうな写真とはまるきり違って、ものすごくロマンティックだと感じます。慎一がベートーヴェンを得意とするのには別の理由があるのですが、ショパンよりもリストよりも彼にベートーヴェンが似合うと思った理由は、あのダイナミズムとロマンティシズムの両者の調和。
このシリーズ、音楽の云々をなけなしの知識(というよりもほとんど無いに等しい知識)を振り絞って書いているので、実は結構しんどい……でも、無い袖でも、結構振れるもんだ、とかしょうも無いことで感心しているのでした(大したものは出て来ないけど、埃とか、糸くずとか……^^;)。
芸術って、偏狭で孤独な仕事ですよね。だからこそ、人を感動させるのかも知れません。



追悼・中村紘子さんで久しぶりに彼女の大きさを感じています。でもやっぱりチャイコフスキーの1番かな。
(クリックして、さらに画面上のYou tubeのマークをクリックして聴いてくださいね)
続きで中村紘子さんの演奏を楽しめます。もちろん、チャイコフスキーの1番は素晴らしいのですが、ショパンの協奏曲第1番も素敵です。ショパンコンクールの最終ステージで聴く若者たちの協奏曲とはまた違って、円熟味を増した後のショパンは聴き応えがありますね。

ノクターン20番はアシュケナージで。ずいぶんと昔(何十年前だろ?)、彼の演奏を生で聴いたとき、古いフェスティバルホールで、どういうわけか一番前の方の席しか空いてなくて、舞台が高かったので足しか見えなくて……あ、そんなことしか覚えていない自分が悲しい。いや、何より、思ったよりずっと小柄な人で、驚いたんだった。
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Category: ♪慎一・短編

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コメント


おおっ

こんばんは。

そうか〜。
「アフリカ&写真家の組み合わせがいる」とおっしゃっていたのは、なんと詩織のご先祖さまだったのですね。

そして、さりげなく(?)次々と明らかになる衝撃の事実!
金髪の誰かさんが、オッドアイの誰かさんの嫁と隠し子を……とか、某ピアニストと写真家カップルが二人とも子供を置いてどっかヘ行ったとか、それを葉子さんポジション(?)の方が育てるとか!
あの一番上の代だけではなく、二代目になっても超ドラマティックな大河ドラマは続いているのですね。

そのストーリー中で重要な位置を占めている奈海は、モデルなどを撮る写真家とは!
ジョルジアはアレッサンドラ・ダンジェロの公式ポートレートなどは撮っていますが、華やかなモデル界からは逃げていると思うので、おそらく面識はないと思いますし、アメリカの弱小出版社の専属で地味に活動している写真家なのに、個展にも来ていただいたみたいで、大変光栄でございます。

奈海の迷いや苦しみが、遠く離れたアフリカの大地で予期せずに聴いた大切な人の音色と、複雑な関係なのに強い絆で結ばれた女性たちとの思い出と会話、いま関わっている人びとを通して昇華されて行くのを丁寧に描写した物語は、さすが彩洋さんの小説だなあとしみじみと読ませていただきました。この後、奈海はネイサンと生きていくのかしら?

と、しみじみ感心している場合ではなく、この完成された作品に何を返せと……。毎年、彩洋さんの投げる球は超重量級(笑) しかも、オッサンが出てきてしまっているので、別ジャンルの小説では返せないし。

あ、あと、サバンナの描写そのものは全く問題ないんですが、一つだけ問題がありまして……。
マリンディはサバンナからは遠いんです。海辺のリゾートなんですよ。
で、「滞在中に、ちょっと車でサバンナへ出かけて、夕陽を見てからすぐに帰ろう」という距離じゃないんです。
というわけで、もしかしたら「急いで帰ろう」ではなくて「到着が遅くなると心配するから、早く行こう」とした方がいいかもしれません。
ちなみに、某博士の研究しているシマウマの生息地である「郷愁の丘」もマリンディからは5時間くらいかかる(だから、なぜそんなところにジョルジアが行くことになったのかが「郷愁の丘」の重要ファクターになるのです)んですが、今回見せるシマウマは、マリンディからかなり近い(といっても130キロ)保護区にグレービーシマウマがいますので、それを見せるという方向でお返しを書こうと思います。

素晴らしい作品でのご参加、ありがとうございました!

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2017/01/30 06:50 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

ひえ~、やっぱりそうだよね~。一応、地図は見たんだけれど、じっくりと検討はしなかったのと、サバンナがどこに広がってるのかよく分かってなかった~。そうそう、北海道や東北でもそうなんだけれど、地図って(あたりまえだけれど)縮小されてるじゃないですか。それほど遠くないと思い込んでいたら、実際にはもう行って帰ってくるだけで1日なんてこと、ざらにあるんですよね。いや~、ご指摘通り、書き直しました。二人は車でスコット博士の待つマリンディに向かっていると。そして、無口な看護師は別ルート(電車)で向かったことにしなきゃ、何だか話が合わないや^^; 実は名前をつけたかったけれど、ソマリアやケニアの人の名前がよく分からなかったので、どうすることもできず。
でも、とりあえず、まずまずな点数で良かったです。
シマウマのこともあんまり考えていなかったし……その辺にいるわけじゃないですよね(>_<)

そして、あちこちで衝撃を受けて頂いてありがとうございました(^^)
この話、事情のあれこれを知らなくても全然読めるのですけれど、知っている人が読んでくださったら「え~~~???」なことがいっぱい書いてあるという、一粒で二度おいしい系の物語でした(?)。

奈海は慎一の前では、まるで宝塚の男役みたいにスマートで格好い女だったのですが(まぁ、年上でもあるし、慎一が生活能力低いし……経済的にじゃなくて。真よりひどいかも)、ネイサンの前では結構駄目なことも出してしまえる、そういう感じになっているのです。この先、慎一とよりを戻す予定はないので、ネイサンとくっついちゃうかな? 
慎一はこの後、チェコの歌姫に恋をするけど、実らなくて(旦那持ち、でもこの旦那は恩人でもある)、最終的には、比較的歳をとってからロシア人のバレリーナさんと一緒になっています。親子くらい年が離れているんですけれど、彼女の方が押しかけ女房。あ、結婚はしていないけど。
しかも、この慎一と奈海の娘・レイナは、この物語でもっとも頑丈な女と思われるのです。外見は「守ってあげたい」系なのですが、中身はびゅんびゅんのしなりのいい竹みたいな娘です。そんな女だから、この家系を先へと延ばしてくれたのかも。

あ~、そして、そうですね、葉子ポジション、確かに。実は言われるまで全く気がついていませんでした。何でだろ。
真・葉子が実はいとこで結婚できるのにしなかった口だからかな。慎一・結依は本当に血の繋がりがあるので、別の関係性に思っていました。でも確かにポジションは一緒だ(^^) 歴史は繰り返すんだなぁ~(しみじみ)

夕さんがジョルジアの話をアップされたとき、うっわ~、かなりかぶっている~と驚いて、そして感動しました。いや、なんてのか、発想のどこかに似たところがあるのかも(*^_^*)なんて。(あ、変なストーカーみたいになってて済みません)
モデルの写真家って下りは意識していませんでしたが、ジョルジアもアレッサンドラの写真撮ってたんでしたね。ほんとだ、むっちゃかぶってる~(^^) うん、面識はないと思うけれど、奈海は賞を取った写真家で自分と同年代の女性カメラマンというので、かなり意識したと思ったのでした。賞とったんだから、個展はするよね。いや、ジョルジア自身は嫌でも、周りが放っておかないだろうし。

このお話は、砂漠もしくは広大な自然の中で音を聞く、という私の大好きなシーンをメインにしたお話で、奈海が元夫(いや、結婚はしてないか)のピアノを聞くってシーンだけが頭の中にあったのですが、他の部分はかなり説明的になっちゃってどうかなぁと思っていたのです。でも、この複雑に絡んだ人間模様があってこその慎一のバラードだと思ったので……読みにくいことを承知の上で書いちゃいました。読んでくださってありがとうございます。
うぅ、超重量級になっちゃったかぁ~。あちこちに突っ込みどころを残しているつもりだったのですが、この際、曲にちなんだ物語でも、シマウマ物語でも、単にモデル繋がりでも、何でもありだろうって……別ジャンルのお話もで何でも嬉しいです。突然のシマウマファンタジーでも! あ、シマウマ、あれこれ種類があるのですね。みんなシマシマ、って程度の知識しかないや^^;
「おっちゃん」は、博士? この話、おっちゃんとアラサー女しかでてないのね。
年齢層高いのは、まぁ、夕さんと私だからしょうがないですよね……
何はともあれ、無事に参加表明できて良かったです。
コメント、そして奈海をご紹介する機会をいただき、ありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2017/01/30 21:22 [edit]


うおっ

執筆、お疲れ様でした。

重厚ですねぇ……すごく。
冒頭で「え、アフリカでショパンって……」ってなりましたけど、読み進めるうちに、ああそういうお話ですかと納得しました。耳にしたことのあるピアノ曲のオンパレードですが、こういう使い方もあるんだなぁと改めて感心しました。
奈海も結依もイネスも、みんなしなやかで強い女性ばかりですね。悩んだり迷ったりしても、前を向いてしっかりと自分の足で歩いていく姿が素晴らしいです。自立するっていうのは、こういうことを言うんだろうなぁ。
アフリカ組の男性陣も、いいオトコばかりで。奈海とネイサン医師のカップルも、面白そうです。そういう関係になったお相手を、被写体としてどう撮るのかってところが、気になりますねぇ。
三銃士とお姫様の物語も、そのうち出てくるのですね? うん、楽しみが尽きない。

ところで、どうしても気になるのが、冒頭にかかっていたショパンのエチュード。
曲名が伏せられている(?)ので、あれこれと想像してしまいました。作中の慎一の演奏スタイルなら、サブタイトルなしの作品25-5かなぁとも思いましたが、ちょっとシーンにマッチしないかと。で、バラード1番とのバランスを考えて、作品10-3「別れの曲」かなと思いましたが、どうでしょう?
中村紘子の曲の紹介が、私の聞いたものとかぶりまくっていて、すごく共感しました。チャイコのコンチェルト1番は初めて買ったピアノコンチェルトのレコード(!)だし、ショパンのバラードも彼女のCDで初めて聞きましたし。ダイナミックな演奏で、派手な曲が似合っていましたねぇ。惜しい人を亡くしました。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2017/01/31 10:30 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

わぁ、長いのに、さっそく読んでくださってありがとうございます。
最近、取っつきが悪いけれど、読み始めたら中毒になりそうな小説を目指したい、とか真剣に思うようになりました(実はやけっぱち^^; だって、ほんとに、読む気になるまで時間かかりそうなのをアップしちゃったと……お猿のように反省中)。
それは冗談として、私も「アフリカでショパンはないよな」と思ったのですが、実はこのだだっ広い大自然の中で音(音楽)を聞くってが私の中でかなりツボっているシーンでして……たぶん、藤原新也氏の写真の中にそんなのがあったんですね。なんかスピーカーでがなっている音を誰かが聞いているって感じの。で、ここはショパンだけれど、カーステレオが具合悪くって音質が悪いけど、すごい響いているって感じにしたかったのです。
このシリーズは、音楽がバックにあるという前提で書いているので、いつも必死です^^; 有名どころの方がイメージを皆さんに持って頂きやすいだろうな、なんて思いながらラインナップを考えていますが、たんまに自分だけの世界に入っちゃいます。っていっても、大して詳しくないんですけれど。
そして、このシリーズ、主人公は、真→慎一→二代目真→(あ、次は詩織か)と基本的に男なのですが、歴史は女が作るの言葉通り、やたら強い女が出てくるんですよね。どうやら、主人公たちが不甲斐ないので周りの女が強くなっているらしい……個人的にこういう女性の方が書きやすいからかも知れませんが、もう少しおしとやかな、万が一にも塔に登って眠り王子を救出しようなんて考えない女を出した方がいいのかなぁ~と思うことも時々あります。でももう、この三銃士+姫はいいでしょう! タイプは色々ですが、一様に強い。奈海が一番普通かも知れませんが、彼女とて慎一からみたら「頼りになる姉さん女房」だったわけで。
この人らが乗っている船なら沈みそうにないから、一緒に乗っても安全な気がする(*^_^*)

ネイサンは、ちょっと夕さんちに出てきそうなキャラを意識しました。スコット博士よりむさ苦しくておっさん、というイメージで^^; でもきっとスコット博士もむさ苦しいおっさんかも知れないので、いい感じにつるんでいそうです。
あ、そういう関係になった男を被写体としてどう撮るか! か、考えたことがなかった。
『死と乙女』を書き上げたら、次は、そうですよね、う~ん、実はチェコの劇場の話を書きたいのですよね~(うぅ、壮大な書く書く詐欺)
姫はいま、イチタロウをベジタリアンにしたくて仕方がなさそうです(だから、猫は肉食だって! ちょっとは草も食べるけど)。

> ところで、どうしても気になるのが、冒頭にかかっていたショパンのエチュード。
わ。えらいとこに目をつけられちゃった。TOM-Fさん、あまりにも鋭い……(@_@) 
はい、「曲名が伏せられている」は実は正解です。どうしてそうなったかというと、本当は慎一ならOp.10-12「革命」かなぁと思っていたのです。でもこのシーンは「革命」じゃ駄目なんですよね。Op.25-5は実は考えました。でもここであんまりエチュードの何番とか分かってないナミが「あ、エチュードの25-5だ」は無いなぁと思ったり(25-5,何で分かったんだ?? 10-4や25-12も候補だったんですよ)。そして、実は帰着したのはまさに10-3でした。でも、ここがあまのじゃくなところで「別れの曲」はあんまりにも普通じゃないですか。なんか書くのが悔しくなって、わざと書かなかったのです。ご想像にお任せします!ことにしとこうって。しかも「別れの曲」ってタイトルがいかん! とか思っちゃって。私には別れと言うよりもお休みの曲(子守歌)に聞こえるし……
そこをまさか指摘されるとは、うわ~ちょっとびっくりで鳥肌立っちゃいました。

> 中村紘子の曲の紹介が、私の聞いたものとかぶりまくっていて、すごく共感しました。
わ~やっぱそうですか~。私、中村紘子さんの「チャイコフスキーコンクール」の本にむっちゃ感動した記憶がありまして。彼女の1番を聴くと、結構納得するんですよね。ショパンのバラードも、どうかな、と思っていたけれど、こうして聴いてみるといいですよね。弾く人で違うのは当たり前なんだけれど、聴き比べるだけのすごい耳を持っていない私は、その瞬間の感動だけで「よし、いい!」とかなっちゃうけど^^; でもうちにあったのはポリーニでした(*^_^*)
書かなかったけれど、実は慎一のモーツァルトはマニア受けしているんですよ。はちゃめちゃ度というのか、おもちゃ箱度がすごくて。この人は事情があってベートーヴェン弾きになっているけど、実は彼の恩師はモーツァルトこそ慎一の真髄と言っていたのです。
あ、なんだかんだ言いつつエキサイトしちゃった^^; 
読んでくださってありがとうございます。そしてどきっとするコメント、ありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2017/01/31 21:29 [edit]


こんばんは~

TOM-Fさんもおっしゃっていますが、ほんと重厚な物語ですね。
確かにとっつきにくくて読み始めるのには覚悟が必要なのですが、いったん入り込んでしまうと後は展開に引っ張られて最後まで一気でしたね。
こういう雰囲気、サキは出したいと常々思っているのですが、これはちょっと無理ですねぇ。残念ですがそう思います。

オープニングから頭の中に広がっていくアフリカの風景。まるで自分がそこに立っているようです。一筋縄ではいかないキャラクター。そしてとても複雑なシチュエーション、いいなぁ・・・。

ネイサンのキャラって彩洋さんならではのキャラクターですね。何でも無いような顔をしているのに、その崇高な精神には頭が下がります。
奈海(あ、こんな所に“海”が)はヒロインですからもちろんそうですが、彼と行動を共にする看護師もまた素敵なキャラクターです。無口なのが良いですね。何があったんだろう?
アフリカとカメラマン、奈海はジョルジアと設定が被っていますが関連付けをとても上手く処理されているので、ジョルジアとの迎合シーンでも書けてしまいそうです。おもしろい会話が交わされますよ・・・きっと。
そして結依とイネス、運命の三姉妹、あるいは三銃士のこの不思議な繋がり。どうしようもないくらいグタグタなのにこの強さ。しなやかさ。素敵だなぁ。
こういう生き方ができる強さが欲しいです。

それに何回か読み返さないと理解できないくらいの複雑な人間関係。
結依とイネスを“彼ら”と表記している部分もあって(なにか事情が?)よけいに混乱しました。
ここまでよく設定でききるなぁ・・・と感心しています。
1人1人の繋がり方が個性的で、そして人間臭くて、ドロドロで、これがまた面白い。
これがとっつきにくさの一因だと思うのですが、これが分かってくるとなお面白い。サキは相関図まで書いちゃいましたよ。
慣れるとこれを追いかけるだけでも楽しくなってくるんですよ。
さらに慎一とテオドールがからむ音楽の妙。半端ない知識がないと書けない文章だと思いますよ。
サキなんか中途半端にオペラを取り入れてしまったので、このお話を読んで青くなっています。どうしましょう?

長大な大河ドラマのほんの一部分なんだと思うのですが、これだけで充分楽しめます。奈海はこれからどう生きるのか、ここに登場するキャラクターそれぞれはどう生きるのか、とても気になってきました。あ、それにレイナ、一番気になります。イチタロウはまぁいいか・・・。
大河の流れに乗ってどこまでも進んで行けそうです。
・・・なんですが、本文を読み始めたらえらいことになりそうな気もしています。

山西 サキ #0t8Ai07g | URL | 2017/02/01 19:34 [edit]


サキさん、ありがとうございます(^^)

サキさん、ほんとに分かりにくいお話にお付き合いいただきありがとうございました!
重厚……ですかね~。なんかごった煮を作って、一人悦に入っているだけのような気がするときもあるのですが、勝手にこうなっちゃうし、ま、いいか! それに、サキさんに、いったん入り込んでしまうと最後まで一気に、と言っていただけたのはものすごく嬉しいです。でもどうして私ってこうなっちゃうのかな~と、皆さんのお話を読む度に落ち込みます。ごてごてが好きらしい^^;
う~ん、サキさんの世界は、世界自体がかなりユニークで、その部分でよく作り込んであるので、舞台の中でどう人を動かしていくかという造りになっているような気がします。うちは先に人があって、この人が世界を作っているのかもしれません。もちろん、意識してやっているかどうかは別問題ですけれど。作り方の違いって面白いですよね。

この話、きっと私の頭の中ではもう人物たちの人生がほぼできあがっていて、それをこの短い中で必死で全部生かそうとするからごっちゃごっちゃになるのかなぁ。以前、登場人物の数は尺に合わせて決めなさいと言われたことがあったけれど、この長さだったら、メイン2人まで、その他大勢が足しても全部で4人程度ってところですよね。それなのに、一筋縄でいかないのがごろごろと。

> ネイサンのキャラって彩洋さんならではのキャラクターですね。
お、そうですか! 確かに、おっちゃんキャラ好きの私としては、この手の人物は書きやすいですが、この人は私のおっちゃんシリーズの中では若いですね。書いている時は、夕さんの世界にも合いそうな人物というイメージで書いていましたので、かなりなじんでいるような気がして気に入っています。背景事情は、あれこれな思いが絡んでいます。でもこういう現場にいる人は、ただ崇高な精神だけではやっていけないんだろうなぁと思うし、それにたとえボランティアであっても団体となったからにはそこにルールが生まれて、結構がんじがらめになるところもあるんですよね。難しいけれど、でも気持ちがあるってことが大事ですよね。

そして、またサキさんの目の行き届きには参りました。はい、この無口な看護師、無口だとしか書かれていなくて3回ほど存在を示すだけなのに、サキさんのお目にとまって嬉しいです。というのか、この辺にサキさんあたりが引っかかってくださったりなんかして、とちょっと思っていたのですよ。だからちょっと嬉しい(^^) 存在感を主張できましたでしょうか。
奈海の「海」にも引っかかってくださってありがとうございます。実はこの、慎一のパートナー「なみ」は30年も前からこの名前なのですが、漢字は違っていました。何となく奈良県生まれに違いないと思っていて(何でだろ?)、で写真家の父親が海洋写真家ってのでこうなりました。そうしたら、いつの間にか「海」がくっついてた。他意はなかったのですが……
あんまりごてごてした名前はイマイチだし、でも、少し印象に残る名前がいいなぁと。

アフリカとカメラマン、そうなんですよ、実はこの「なみ」の設定はその30年前から変わっていないのですよ。モデルたちの写真を撮るカメラマンで、そのつながりで慎一と出会って、慎一との間に娘が生まれて、芸術家同士、上手くいかなくて、別れることになったけれど、慎一が生活能力低いくせに絶対娘を離さないとだだこねたので(逆にレイナの方が、5歳にして、このお父ちゃん、私がついないとダメになるわ、と思ったという説も)、一人アフリカに旅立っちゃったという……だから夕さんがジョルジアを書かれたときに、うっわ~、ものすごい被ってる~、この発想の類似は同年代のなせる技なのか、とちょっと鳥肌ものでした。
だからこの際、絡めさせていただいちゃおうと。でもここで2人出てきて「わかり合ってる」ふうなのは何となく二人の性格上違うかなぁと思ったので、シマウマ先生だけの登場となりました。面白い会話が交わされるになるまでには少し時間がかかりそうな二人ですよね。ジョルジアはシャイだし、奈海も決して社交的ではないし。でもわかり合ったら、言葉はいらないかもしれませんね。

結依とイネスは、まさに黒と白の対比が美しすぎて、二人で一対みたいに扱われますが、実はユイのほうがかなり年下なんですよ。でも二人とも、多分出会ったときから、ぴ~んと来たみたいで、これは私の魂の片割れ、みたいな惹かれ方。それはまさに、テオドールと慎一にも当てはまっているのですけれど、こういうの、好きなんですよね。ものすごく惹かれあってるけれど、ものすごいライバル心もあって、くっついたり、離れたり。でも彼(彼女)が一番自分を分かっている、って思っている。言わないけど。
あ、そうか、だからごたごたするのかぁ。確かに、そもそも真の父親は三兄弟の真ん中なのですが、この三兄弟葛藤が楽しすぎて、一時自分で書きながら嵌まっていたことがあります。だから、何回か読み返していただかないとイケないような複雑な人間関係になっちゃうのですね(涙……)。ま、いいか!(マコト化してごまかすしかなさそう)

結依とイネスの“彼ら”……あら、なにも意識していませんでした。彼女ら、ですかね~、その方が分かりやすいですね、うむ。彼女らって言いにくい感じがするので、さらっと彼らになってしまったんですね、きっと。いや、でも済みません、相関図まで書いていただいたなんて! 実は私も昔書いたことがありまして。実は本編のおまけのページのどこかにその人物相関図が隠れているはず。どこだったかなぁ、また探しておきます。
そう言えば、テレビのドラマの紹介とかでも人物相関図ありますね。あれ見てるだけでもう見なくてもわかった気になるという^^;

慎一はこれからしばらくみっちりピアノと同じくらい大好きなオペラの世界に入っていきます。もっとも、ピアノと離れられる人じゃないのですけれど(自分を語るのはピアノしかないので)、オペラへの情熱も半端なくて……彼がチェコで歌姫を見いだして、結果的には振られちゃうエピソード(恋もしたのですが、何よりも本格的にデビューさせてやりたいと思ってその才能と声に惚れ込んだのですが)、そのうち登場するかな。
そう言えば、ミクと会う予定はもっともっと先なので(何しろ、詩織と絡んでるって事は、慎一のひ孫ですもの!)、時間軸がおかしくなってるけれど、それはもうコラボ企画のご愛嬌と言うことにしましょう! 長いドラマの中には沢山の出会いと別れがあって、そしてきっとどこにも行き着くわけでもなく、ただ繰り返しながら、らせんを描きながら上っていくのでしょうね~(?)
サキさんは、いろんなキャラたちの行く末をたくさん気にしてくださるので、嬉しいです。きっと感性が豊かなんですよね。
あ、イチタロウも気にしてやってください。なにしろ、レイナによってベジタリアン猫にされそうですから、もしや凄い猫になるのかも。フランス版半にゃライダーに出演したり!

なんだか支離滅裂なコメ返になっちゃって済みません~夜中だからかな。吐きそうで眠れない……(@_@)
読んでくださってありがとうございます。そしてコメントありがとうございました!!

彩洋→サキさん #nLQskDKw | URL | 2017/02/03 03:20 [edit]


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# |  | 2017/02/04 11:13 [edit]


鍵コメCさま、ありがとうございます(^^)

わぁ、読んでくださってありがとうございます!!
まだまだ、本編というのか、一代目真の人生が終わっていないのに、その子孫の話を同時進行で書くのは変な感じでもあるのですが、自分の中では全員の人生が全て同時進行、というよりも、どの時代を切り取ってもその部分へ入れるので、あまり違和感なくそれぞれの人生を書くことができるのです。でも、読んでくださる方を混乱させちゃいけないので、できるだけ(設定はやむを得ないとしても)無関係に話を進めていたりします。
背後関係が分かったら別の楽しみもあるけれど、分からなくても楽しめるように書けていたらといいのですけれど。

慎一は、そもそも竹流(ジョルジョ・ヴォルテラ)に育てられているので、日本で過ごしていたのは5歳までだし、あんまり日本でのことは覚えいていないんですよ。記憶にあるのは葉子のことで(実母とは2歳までしか一緒にいなかったので)、ピアノがいつも家にあったこと(葉子はピアノの先生でしたから)。そんなこんなで、生い立ちはややこしいし、彼のピアノには影響しているのですが、それはそれとして、若い音楽家の話として書いている分には何も問題はなくて。
ただ、時々説明したくなっちゃうんですよね。それがくどくなる理由で。気をつけなくちゃと思っています。
このくどさにもしかして中毒になってくださる人がいたら、それはとっても嬉しいなぁなんて(^^)
だから中毒患者告白、ものすごくありがとうです!

夕さんの作風と私が書くものは多分対局にあるんだろうなぁと思う面もあり、一方でどこかにちょっと繋がっているところもあって、その違いの部分と重なる部分の対比が自分としてはかなり面白かったりします。たとえば、自分の作品に共通するテーマは何かという部分では、その言葉は多分180度とはいかなくてもそれに近いくらい逆なんだけれど、興味を持って使おうとするスペックが結構似ていたりして、似てるのに最終地点が違うから別の話になって、ってのがかなり興味深いんですよね。
あ、私などは夕さんの足元にも及ばないことがたくさんありすぎて、こんな風に比べたら怒られちゃいそうですけど(うぅ、ごめんなさい、夕さん)。
でも、ちょっと夕さんっぽい何かを意識して書くってを試みた部分で、リンクしている何かを感じるといって頂けて取っても嬉しいです。あぁ、でも、夕さんがscriviamo!で皆さんの作風に合わせて書き分けておられるのなどを見ると、ほんと、夕さんの頭の中どうなってるんだろうって、いちいち驚きつつ感動しつつ、とてもまねできないと思うのですよね。
アフリカを舞台にしても、あまり深く入り込んだらあれこれぼろが出るので、こちらはさらりと流したいなぁという感じです^^; でも内の本筋では奈海の話は、もともと掘り下げる部分じゃなかったので、こうして少しでも彼女を書くことができて、とても良かったなぁと思います。

ありゃ。そして、慎一とユイに引っかかってくださいましたか。
この慎一世代の話って、真の世代と違って、割とあっさりなんですよね。いや、心情的にはともかく、泥沼になりにくいんです。これ、多分主人公の性質によるのではないかと。あとは時代でしょうか。真の場合は、良くも悪くも昭和。人間関係もどろどろしやすいし、主人公が性的な行為にはどこか嵌まりやすい性質でもあって。ところが慎一時代は、この主人公がどうにもおぼこくて、比較的ブランク少なめで恋をしているか、恋人がいるのですけれど、どんな関係になっても音楽と比べたら「そこまででもない」のか、行為をいたしていてもあっさりしたものなんですよ。しかも相手もみんな「音楽が相手じゃ太刀打ちできない」とあっさり諦めてくれちゃうという。ユイは始めからそういう兄の「音楽やってないと死んじゃう病気」を知っているし、誰と付き合っててもどうせ音楽ほどじゃないと知っているので、放っているのですね。
葉子が、お兄ちゃんの相手が他の女だったら嫌だけど竹流さんならいいか、と思っていたのと同じかも。どうせどんな女も音楽には勝てないんだから、と。
二代目真はまた一代目と少し似ているかもしれませんが、この人は実は幼なじみの又従妹と結ばれていて、結構純愛だったりします。もっとも紆余曲折は一代目以上にありましたので、その辺りは結構楽しいかもしれません。
まぁでも、複雑にするの、好きみたいです、私。
その分、マコトがすこぶる単純だからいいか。

思わずあれこれ語ってしまった……^^;
コメントありがとうございます(*^_^*)
Cさんも、ゆっくりと創作を楽しみながら続けていってくださいね!

彩洋→鍵コメC様 #nLQskDKw | URL | 2017/02/05 18:18 [edit]


ああこれは、アフリカにいてある時を過ごすわけありカップルのお話…
と思いきや、うおうお~わけアリアリだよーーという驚きのお話でした(@@)

もうもう、サバンナの中に音楽が流れるシーンはもちろんの事、
登場する全ての者、全ての景色を取り込んで物語が流れていくところは圧巻。

大海さんの頭の中で、あれもこれもが時間も距離も関係なく、同時にあるのだなあというところ、改めてさすがです。

これを一話で語ってしまうなんて、ホント凄い。いや、一話ではもったいない。
また大河の広がりを見たいですね。

けい #- | URL | 2017/02/18 16:07 [edit]


けいさん、ありがとうございます(^^)

アフリカにいてある時を過ごすわけありカップル……そうそう、実は奈海の過去は書いてあるけれど、ネイサンって40にもなってるし、きっとあんなことやこんなことや、あれこれあったかも、とけいさんから頂いたコメントを読んで今更思いました。
実はこの掌編を書くにあたって初めて奈海という人物に肉付けをしたのですが、ネイサンは設定ではもともと空白になっていた人物。だから、あんまり考えてなくて、決まっていたのは奈海が誰かといっしょにアフリカにいて、もう慎一とよりを戻す予定はない、ということだけだったという^^;
みんなにいろんな事情があるのだけれど、それを少しずつ表に出していくのは楽しい作業ですよね。そこに夕さんが手助けをしてくれているみたいな。こうして上手くキャラ紹介とか、予告編とかしちゃってるんですよ。でも反面書く書く詐欺になる可能性もあるので、ちょっと恐ろしい^^;

音楽については、絡めだすときりがないですよね。けいさんのところは様々なポピュラーやロック、って感じでしょうけれど、ついついそこで堀下がってしまうと前に進まないんですよね。私、クラシックにはそこそこ嵌まりましたが、知識があるってわけではないので、かなり偏った興味という感じなので、ほんと、こんなの書いていていいのかって思うのですけれど、雰囲気を伝えるためには音楽っていいアイテムですよね。ただ、文字芸術のマイナス要素として耳は使えないので、「あぁその曲知ってる」ってのがある程度ないと、「?」なことになるのですよね。ショパンも、聞いたら「あ、それ知ってる」だけど、バラードの何番、エチュードの何番と言われましても、ですよね。逆に詳しい人からしたら、他にいい曲があるのに、また「別れの曲」?ってなことになるし。
学校の音楽教育が悪いのか、ベートーヴェンやモーツァルトも世間一般には「じゃじゃじゃじゃ~ん」とか眠くなるとかの固定観念になっちゃってる気がするし、でもまぁ、その固定観念の中ではピアノと言えばショパンてな一般感覚もありそうなので、「サバンナでショパン」と言えば、その曲がどんな曲でも「あ~、なんかそういう雰囲気」って伝わりやすいかなぁと思いまして。ここで、サバンナでベートーヴェン、とか言ったら「すごい押し寄せるダイナミズム」みたいに思われちゃいそうで。ベートーヴェン、とってもロマンティックだと思うのですけれど。
そんなこんなで、あるかないかの微かな知識と、勝手な持論で展開中です^^;
慎一のお話は曲を絡めると決めていたので、いつもちょっとしんどい目を見ますが、書くと楽しいお話になります。また可愛がっていただけましたら、とっても嬉しいです(*^_^*)

マコト時代を、じゃなくて、真時代を書き切っていないので、慎一の話はまだまだ断片ですが、もう生涯はほとんど決まっているのですよ。書きたいけれど、なかなか時間がなぁ~。だから掌編で詰め込んじゃうのですね。
ちょびっと反省。
そんなのですが、読んで頂いて感謝です!
コメントありがとうございました!!

彩洋→けいさん #nLQskDKw | URL | 2017/02/19 07:49 [edit]


おお!

2回ほどじっくり読み直して、ようやく全体像は把握できた……かな。
兎に角驚く情報がいっぱいでした。
カタカナの名前が覚えられない私は、ここに出てくる沢山の人物が、既出の人なのか、夕さんのキャラなのか大海さんのきゃらなのか、ちょっと怪しい部分があって、本当に自己嫌悪なんですが><
でも、ナミが慎一のパートナーで、そして女の子を生んでいたという事実に、どきり!
(くそう、なんて羨ましいんだ><)なんて思ったりしましたが、芸術家の魂は繊細で、それゆえに重圧を抱えきれずに、離れてしまう事ってきっとあるのでしょうね。
慎一もやっぱり苦悩してた時は荒れたりしたのかな。
そしてジョルジョの子と異父兄弟とか……。そうなのか……。

ネイサンとの日々はナミの本来の目的を掴む、大切な時間なのでしょうね。この2人が結ばれるという事はないのかなあ。^^

いちたろうを追いかけるレイナがやけに気になります。
慎一も猫飼ってるんだね^^
自分のおじいさんが猫だったなんて、知らないだろうなあ(え!)

lime #GCA3nAmE | URL | 2017/02/19 16:58 [edit]


limeさん、ありがとうございます(^^)

> 2回ほどじっくり読み直して、ようやく全体像は把握できた……かな。
わわ。2回も読み返していただいて、済みません(>_<) やっぱり、あまりにも情報を詰め込むと行けないという典型ですよね。こういうのはできる限りシンプルにわかりやすくあるべきなのですけれど……ま、人物紹介みたいなものなのでよしとしよう!((^◇^;)
しかも、カタカナの名前、覚えられませんよね。今日も仕事である人が同じことを言ってました。「それ、覚えなさいと言われても、カタカナだし覚えられない」うむ。それはその通り!ここはやはりカタカナを漢字にして……「ヨロシク」は「夜露死苦」みたいな。しかも、レイナもユイも漢字があるのに、外国人仕様に合わせてカタカナになってるし。
夕さんちのキャラかどうかは、夕さんが本編の『郷愁の丘』を書いてくださったら、すぐに解決するのでいいとしましょう! うちの場合は、慎一以外はあまり重要人物ではないので、ここでさらっと忘れていただいて何の問題もありません!(ひどい)
イネス(テオドールの姉)の件は『死と乙女』でちらっと出てきますので、またその時で……(あれ、もしかすると、その次の話だったか)
奈海はせっかくこどもを産んでくださったのに、以下、あまり出てこないかもしれない……あ、慎一と奈海の娘・レイナはなんだかんだとその辺の人に懐くので、母ちゃんに会いに行くときに「パパ・ネイサン」なんて言いながらしれっとネイサンにも甘えるかも知れません。
でも、この話、いかにもネイサンと奈海の話みたいに見せかけといて、その実は慎一の話になっているという……全然出てきてないのに。だから、慎一さえ押さえといていただけたらやっぱり問題ないみたいです! この子、音楽以外は全く関心事ではないくせに、結構、恋愛対象やパートナーが途切れているときがないんですよ。ある時期までは、育て親のことしか考えてなかったし(これは恋愛ではないけど)、ウィーンにきてからはヴィクトルのとこに転がり込んでるし(あ!)、アンネットに惚れてたし(失恋1)、チェコに行ってからはまた人妻に恋をしてるし(失恋2)、最後は親子ほど年の離れた美人と暮らしてるし。誰もいないときは結依が構ってくれるし。でも、基本は音楽のことしか頭にない子なので、ものすごく恋に悩んでも、最後は音楽さえあればいい人。だから孤独なのかもなぁ。でも、孫がね、あんなのだから(二代目真……)。

ネイサンと奈海はきっと上手くやっていくでしょう! うん。どういう形にしてもちゃんとパートナーでいられると思うし。慎一に対しては奈海は「何もしてあげられない」「一緒にいても自分の居場所はない」だったけど、ネイサンにならちゃんとしてあげられることもあるし、自分の存在意義も感じていられるみたいですし。慎一とはよりを戻す予定はまるきりないので、ネイサンと落ち着いてくれたらよいなぁと思います(あんまり深く書く気がないのね(^_^;))。

> いちたろうを追いかけるレイナがやけに気になります。
あ、そこ、引っかかってくださってありがとうございます(*^_^*)
そうそう、イチタロウ、レイナによってベジタリアン猫にされちゃうかも……肉食なのに^^;
実は、3匹セットで考えていて、イチタロウ、ジローラモ、サントス(これで1・2・3)でいこうかと。レイナが拾ってきたのか、慎一が拾ってきたのか、いつの間にか……

> 自分のおじいさんが猫だったなんて、知らないだろうなあ(え!)
あ! そういえば入れ替わり事件があったなぁ~もしかしてあのまま……
(真はマコトになったことに納得してたような^^; あきらめ早いな、あの人)

またこのややこし~い人物関係は必要事項については繰り返し出てくるので、ここらへんはもう、さら~っと流しといてくださいませ。でも、驚いていただいて何よりです。
読んでくださってありがとうございました。
そしてコメント、ありがとうございました!!

彩洋→limeさん #nLQskDKw | URL | 2017/02/20 23:25 [edit]

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