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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

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【雪原の星月夜-5-】 第2章 霧の港(1) 喪失 

【雪原の星月夜】5回目です。
『霧の港』というのは竹流の店で会員制のバーです。多分各ブースでは世の中が動くような秘密の会話が交わされていることでしょう。真は大東組の若頭・新庄に呼び出されて銀座にあるこの店に向かっているのですが、まだかなり時間が早いので、少し寄り道をしてしまったようです。寄り道をしたのは竹流の元恋人(のひとり)室井涼子のブティックです。
ちらりと予告していましたが、真は今、彼女と微妙な関係なのです。

相変わらず、まだあの人は出てきませんね……でも新宿から銀座に来たので、少し近づいたかしら。彼は今、築地?
本当は1回休憩して息子のお話にするつもりだったのですが、ちょっと事情があってこのまま第2章に入りました。事情というのは、やっぱり【死と乙女】の後半をアップしてからのほうがいいなぁと思ったので。

ところで、プチ予告です。
しばらくキリ番リクエストをしておりませんでしたが、60000Hitでは久しぶりにしようと思っています。
近づいたらまた記事として募集させて頂きますが、今回の趣向は「うちのオリキャラ(もしくは大海)があなたのオリキャラ(もしくはご自身)を巨石への旅にご案内します」です。ただし、エスコート役をネコや某寺の物の怪にしたら、迷子になったりして、たどり着けないかも?
相変わらず辺境中の辺境で、うちのペースだと、60000Hitになるのはまだ随分先になりそうですので、もう少しお待ちくださいませ(*^_^*)

【真シリーズについて】
【雪原の星月夜】の登場人物紹介はこちら→【雪原の星月夜】(真シリーズ)登場人物紹介
万が一、前作【海に落ちる雨】に挑戦したいと考えてくださる方は→左のカラム・カテゴリから選択してくださいね。
【海に落ちる雨】部分読みも可能
【海に落ちる雨】始章:竹流と真の生い立ち
【海に落ちる雨-52-】第9章 若葉のころ:真の中学生の頃。
【海に落ちる雨-59-】第11章 再び、若葉のころ:真が高校生の頃。
『若葉のころ』には真の学生時代が登場、今回の物語で登場する母校の院長(校長)先生や灯妙寺も少し登場。



【雪原の星月夜・第1節】 第2章 霧の港
(1) 喪失
 

 その日は案の定、夕方まで来客もなく、真は宝田を早めに休ませて、七時には事務所を出た。大東組の新圧に指定された時間までには、まだ少し間があった。

 銀座に出るのは久しぶりだった。
 クリスマスが近いためか、街は夜となってますます煌びやかに見える。どの店もまだ閉店の札を出しておらず、明りの灯った店内では客が買物を楽しんでいる。その華やかな空気にもかかわらず、真には全てが冷えて固まった絵のように思えた。透明な氷に閉じ込められた向こうにある世界は、光を内側に包み込んだまま、真が手を伸ばしても届かないものに映る。

 その一軒の前で真は足を止めた。銀座では小さいながら、上品でセンスのよい服をデザインして売るという店は、夜の世界の女性が、ファッションの相談も含めて愛用している店だった。店の明りはその女性たちのために夜中近くまで灯されていた。髪をアップにまとめ、その一部を肩に垂らした上品な立ち姿の女性が、いかにもどこかの店のママと思われる和服姿の女性と話していた。

 一瞬、店の女性の目が真のほうに向けられ、それから少し驚いたような顔になった。真は会釈も微笑みもせず、ただ目だけで合図を送ったような形になった。
 もしも同業者が真の素行を調べたら、あっさりと不貞行為が調査報告書に並べられることだろう。もしも舞が、夫の浮気に対して何か事を起こそうと思えば、それは簡単なことのはずだった。

「ここ、久しぶりね」
 半時間ほどで接客を終えた室井涼子が、以前待ち合わせに使ったこともあるプチホテルの一室を訪ねてきた。涼子はドア口でコートを脱ぎながら言った。
「あなた、銀座では会いたくないって言ってたのに」
 そんなことを言っただろうかと思いながら、真はそのまま涼子を抱きしめた。それともそう言っていたのは涼子のほうだったのかもしれない。涼子は真に抱かれたまま、その冷たい頬を真にくっつけて、少し驚いたように離れた。
「あなたのほうが冷たい」

 真は十歳ほども年上の女の、歳を経ても変わらない美しい顔を見つめた。
 涼子は、真が中学生の頃に初めて会ったときから、変わっていないように見えた。もちろん、その肌はとっくに若い女のものでなかったし、近くで見れば目元にも明らかに皺がある。それでもそんなものは涼子のマイナスにはなっていないように思えた。

 涼子とは月に一度ばかり会う。いつの間にか、どちらも何も言わないのに、月の始めになると、どちらかからほとんど無言に近い電話を仕事場に掛ける。それだけで十分だった。始めの数度だけ銀座で会ったが、それはお互いにあまり好ましい場所ではなかったため、近頃は涼子の車で少し遠くまで出かけることが多かった。
 このプチホテルの部屋は二人ともが何となく気に入っていた。部屋は狭く、アールデコ調の鏡と机が置かれていて、小振りのダブルベッドもアンティークなつくりだった。天井も高くないため、まるで包み込まれているような気持ちになる。窓のカーテンを開けたことはないが、カーテンは柔らかく淡いブラウンで、時々外の音の気配が伝わるのか、視界の隅で揺れていた。

「怒ってるんじゃないかって思ってたの」
 ベッドに一緒に座ると、涼子が真の顔を見て言った。
「どうして」
「この間、あなたを傷つけたから」
 しばらく真は何を言われているのか分からなかった。涼子のピアスの透明な光に惹かれるように、その耳に口づける。涼子の香水を嗅いだとき、二週間ほど前に会ったときのやり取りを思い出した。

「子どものこと?」
 涼子は頷いた。
「知らなかったの。あなた、何も言わないし、あなたとは月に一度会うだけで、他に接点もなかったし」
 真は涼子の肩を抱いていた手を離し、ベッドに深く座りなおした。
「怒るようなことじゃないよ」
「でも私が無神経だったのは確かだわ」

 仕事中の涼子が、真と視線が合っただけでここにやって来た理由がやっとわかった。いつもの涼子なら、真が自分の生活や仕事に差し障ることを許容しない雰囲気があったし、逆に真のプライベートにも踏みこむことはなかった。
 真はこのホテルに入ったとき、涼子が来るかどうか、むしろ来ないだろうとさえ思っていた。
「無神経だったのは俺のほうだ」
「それにあれは、何となくその時の気分で言っちゃっただけだから、もう忘れて」

 しばらくの間、二人とも黙り込んだ。もともと抱き合おうと思って涼子の店の前を通ったわけではなかったし、涼子のほうもすぐに店に戻るつもりのようだ。コートを脱いだだけで、上着を脱ぐ気配はなかった。
「誰から聞いたんだ」
「この間久しぶりに葉子ちゃんに会ったの。それで」

 真は何故か涼子にあの事を吐き出してしまいたい気持ちになった。腹の奥に隠してある何かを出し切ってしまうことはもちろんできない。だが僅かだけ、ここで涼子に打ち明けてもどれほどの罪になるというのだろうか。
 だが、真は決してそんなことはできない自分という人間を嫌と言うほど知っていた。
「あれは俺が悪かったんだ。それに、人に話すようなことでもないと思っていたし。気にさせてごめん」

 涼子は真の顔を見ないまま、少し笑ったようだった。哀しい、というよりは感情のない静かな笑いだった。
 女の表情には、表面からは全くわからない理由が潜んでいる事がある。真はそれを涼子から、竹流の恋人の一人として彼のマンションで初めて会ったときから今この瞬間に至るまで、教えられてきたのだ。

「どうしてあなたが謝るの。それに、私もあんなこと言うべきじゃなかった。単にセックスが気持ちよかったからそんな気分になったりしたのかもしれない。少し酔ってたし。でも何だか変よね。今まで愛していると思っていた男と寝て、確かにそういうことは頭を掠めなかったといえば嘘になるけど、一度もそんな気持ちになったことはなかった。つまり、ちょっと歳を取ってセンチメンタルになりやすくなってるだけなの。こういうことってタイムリミットがあるじゃない。それで何だか最近落ち着かなくなったり、一人で泣いてしまったり、更年期には早いけど、そういうのに近いのかもしれないわ。誤解しないでね。あなたを愛しているわけじゃないし、負担をかけるつもりもないの。あなたが嫌なら、いつでも、こういうことをやめてもいいんだし」

 真は返事をせずに手を組み、額をつけた。
 涼子は、真に対してやはり少し大人の女でいようとする。もちろん、涼子が真を愛していないというのは本当だろう。今でも涼子は、真の以前の同居人を愛している、その気配はいつでも、ベッドの中ででも伝わってきていた。
「別れるつもりはないよ。あなたのほうが嫌になったら身を引く」

 涼子はこういうものの言い方が嫌いだと言ったことがあった。物事の決定権を女に譲っているのは優しさだと誤解しているような言い方、悪者になりたくなくて自分からは別れないという男の厭らしさ、それが時々涼子の気に障るのだろうが、これまでもあまり幸福とは言いがたい、つまり未来を描けない恋しかしていない彼女は、それを自分の非だとわかっているだけに、たまらない気持ちになることがあるのだろう。

「あと一年もしたら私も四十になるの。きっとこれからも時々あんなふうに、セックスをしているときに子どもが欲しいって言い出すかも、それどころか、もしかしたら安全日だって嘘をつくかもしれない。そうしたらあなたは重荷に感じることになるわ。早くこういうタチの悪い年増女とは別れたほうがいいと思わないの」
 真はただ首を横に振った。

 真は涼子に対して後ろめたさを覚えていた。あの日、竹流と一緒にローマに発つ前日、涼子に何も告げずに東京を離れたことに対して、あるいはもっと根本的なことで、涼子の竹流への深くて苦しい想いを知りながら、その男を奪っていってしまったことに対してなのかもしれない。
 だが、涼子と別れられないのは、後ろめたさだけが理由ではなかった。今でも、涼子は真には手の届かない憧れの女性であり、ベッドの中でもこれほどに懸命に愛したいと願う相手はいなかった。ただ、心がついていっていないだけなのだ。そして真の全ての感情や想いを、涼子が何もかも感じとって知っているということを、語り合わなくても真にはわかっているような気がしていた。

「あなたの車が、今でも時々、マンションの駐車場に停まっている。朝まで」
 真はようやく顔を上げて涼子を見つめた。涼子の声は奇妙なほど優しくて綺麗だったが、顔には表情がなかった。
「それなのにあなたが私と寝るのは、私が可哀想だからなのよね。私も、あなたと別れたいのに、自分が可哀想で、それに身体を温めてくれる人が欲しくて、あなたに甘えてしまう。あなたは私が傷つけるようなことを言っても、黙って受け入れようとする。奥さんが流産したことは私に話すようなことじゃないんでしょうけど、あなたは顔色も変えず、何も不幸など感じていないような顔で同じようなペースで私と会う。私が子どもが欲しいって言ったとき、あなたは責めもせず、慌てる様子もなく、真剣に考えているような顔をした。葉子ちゃんは、あなたが子どもが生まれてくるのを待ち望んでいたって言ってたわ。何も言わないけど、葉子ちゃんの家に行って、姪っ子の寝顔を幸せそうな顔で見ていて、享志くんが聞いたら、女の子がいいって答えたって、あなたがそんなことを言うなんてちょっと驚いたって話していた」

 真はいきなり力任せに涼子を抱き寄せた。涼子は息を止め、しばらく固まっていた。それから急に腕の中で力を抜き、小さな声でごめんなさい、と言った。
 上手く涼子に伝えることはできない。あの日、涼子は安全日だと言っていた。それはただセックスの前に避妊具をつけなくてもいいという、いつものメッセージに過ぎないと思ってベッドに入った。もちろん避妊具を介して触れ合うよりもよかったし、涼子も直接真を受け入れるほうがずっと感じていることは、涼子に埋めた部分からいつでも確かに伝わってきていた。
 あの日、昂ぶりが最大限に達しそうになっている真の耳元で子どもが欲しいわと涼子が囁いたとき、真は実は驚きもしなかった。ただ一瞬だけ動きを止め、真にとっては誰よりも官能的で憧れ止まない女性の目を見つめ、激しくこの女を求め、そのまま涼子の中に自分自身を吐き出し、その後もずっと彼女の中に深く身体を沈めていた。

 結婚した当初、飲み屋かどこかで、子どもを作るにはこれまでのような中途半端な覚悟ではいけない、真剣にセックスをしないと駄目だ、射精した後も動かずに最後の一滴までも女に吸い尽くしてもらうようにするんだぞ、と子作りの秘訣を、子どもが七人いるという酔ったオヤジから説教を受けたことがあった。
 舞と抱き合っていたときにはそんなことを真剣に考えたことはなかったが、あの時涼子を抱きしめたまま離したくないと思い、ふとそのオヤジの言葉を思い出していた。

 子どもを失ったことが真の感情に影響していなかったのかどうか、それは今でもよくわからない。涼子に対する憐れみなのか、ただ生物の雄の本能として子孫をできるだけ沢山残そうというホルモンが働いただけだったのか。
「ちょっと情緒不安定なの。精神科にでも行ったほうがいいみたい」
 そう言うと、涼子はお店に戻らなくちゃ、と言って立ち上がった。

 出て行きかけて涼子は不意に立ち止まった。そしてやはり感情の読み取れない表情のままで振り返り、真の顔を見た。
「今でも会って、朝まで一緒にいるのは何故? 奥さんを裏切るのがわかっていて、どうして結婚なんかしたの?」
 真は答えなかった。答えるための言葉も、自分が本当は何をどのように感じているのかについての確かな心の内の声も、自分自身の中に用意されていなかった。
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Category: ☆雪原の星月夜 第1節

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コメント


ああ、なんだか涼子の気持ちも真の気持ちも分かるなぁ、と思いました。
うまく伝えられるか不安なのですが、二人とも「遊び」とかでは決してなくて
愛情らしきものがまったくないというわけでもなくて、互いを埋め合ってる、
というのでもなくて、竹流、という一人の人を挟んで同じ景色を唯一共有してる
者同士、という感じがしました。
ここに「男女の関係」が絡んでるのでややこしく見えるけど、
二人を純粋に人間としてとらえたとき、こうして密会? をしてしまうのは
分かるような気が……するのです。
とはいえ、一般的には不貞と言われる行為に当たるのでしょうが、
なんだか二人にはそういった言葉が当てはまらない気もしています。
それは、彩洋さんが二人の心情を丁寧に描写されてるからでしょね。
どろっとしてるのにどこか芯は冷えていて透明感さえあるというか。
それと、真の初恋相手、というのは大きいかもしれませんね。
なんとなく涼子さんも真の前では年上の女として振舞ってしまってるし、
真もそこに甘んじて甘えてる感じがしました。
個人的にはこういう関係とても気になっちゃいます……
それから、「子ども」というキーワード。
「海に落ちる雨」のときにはあまり全面に出てくることのなかったこのキーワードが
ここでも出てきていて、ちょっと気になっています。
真は、「生きていく」とか「繋いでいく」という意志が希薄な人という感じがするのですが、周りの女性たちは真の意志とは無関係に子を望みまた育んでいく……
この物語は真世代だけで完結しない壮大な物語ですが、この「子ども」という言葉はそれを象徴しているような気がしました。
わああ、絶対的外れなこと書いてる(;´∀`)

ところで、舞さんはこの二人のことを知ってるのでしょうか?
知ったとしても、彼女はあまり激怒しないイメージがあります……
どうなのかな?
涼子さんと真の関係、とても複雑で、行方が気になります。

canaria #- | URL | 2018/09/02 23:21 [edit]


canariaさん、ありがとうございます(^^)

canariaさん、早々にありがとうございます(^^)/
そして、よかった~、分かっていただけるというお言葉も大変嬉しく思いました。そうなんですよね、世間的には「何だよ、フテイだろ」なんですけれどね……う~ん、何というのか、この二人は空白を埋め合っているだけなので、愛とか恋とかいうものでもないのですね。かといって情がないわけではないので、どこにも行き着かない関係なのだけれど、どこかに行き着く港を探していて漂っている。
でも、涼子の方は、真に対してはきっと憎しみとかフクシュウの気持ちもあったりするのですよね。このあたり、書くのは難しい心情なのですけれど、canariaさんがおっしゃってくださったように、全然遊びじゃないのですけれど、本当に「とりあえずこの空白に丁度はまる形だから、これで埋めとこう」みたいな関係です。
これは前には向かわない関係なので、ある意味、安心でもあるのですよね。そもそも前に向かう関係って、どこか怖いじゃないですか。行き着く先が幸せかどうかも分からないし、世間的には幸せな結末が自分にとって望ましい形かどうかも分からないし。逆にこの発展性のない惰性のような関係はどこか楽だったりして。
そして書いてくださったように、竹流が間に介在しているから成り立っている関係でもあります。同じように挟まっていても、添島刑事とはこうならないという。だって、彼女は女性だけれど戦友でもあるので、友情になっちゃうんですよね。でもそれじゃあ空白は埋まらないし。
いや~でもね、結局フテイですからね。そうそう。ほんとに真を万が一調査しようという探偵が居たら、簡単だろうな~

真の中で女という生き物は、あまり綺麗なものではなかったと思うのです。最初のイメージは母親(義理の)で、自分の首を絞めてますから、女=母=怖い、の世界。そこへ、天から姫が降りてきて、これがまたちょっと変わった姫だったのですが、女の子=姫=触れてはいけない、という両極端になって、結果的に女性に対しては「なんか分からん」ということになっているような。
涼子はその中で、始めから母でも姫でもない、女として現われたのですね。だって、そもそも最初から竹流のところでなにやらいたされている現場で出会っていますから……セイの対象としては初めての出逢いであったので。う~ん、なんか、言い訳チックだなぁ。
涼子の方はもっと複雑でしょうね。だって、この小僧が(初めて会ったとき、真は中学生のがきんちょ)、まさか自分の男を奪っていくなんて! ですからね~。ほんとに。最も、始めから誰も太刀打ちできない珠恵という女がいるのですけれど。

> それから、「子ども」というキーワード。
> 「海に落ちる雨」のときにはあまり全面に出てくることのなかったこのキーワードが
> ここでも出てきていて、ちょっと気になっています。

あ~そう言えばそうですね。いや、言われるまであまり意識していませんでしたが、たしかに『海に落ちる雨』では、ほとんで出てこなかったキーワードですね。一度だけ、三上(真の元事務所の先輩、事故で下半身不随)が、真にセイシ提供の打診をしていましたが、次世代がどうのこうのという話には全くなっていませんでした。
それが、ご指摘の通り、このお話では、始めから子どもの話題がわんさと出てきます。舞の流産、よその子どもだけれど、しばしば家出して真の家にやってくる女の子も居たりして、それにまだ他のところでもあれこれ子どもの話が。う~む、たしかに時間が過ぎて、次世代のことをあれこれ気にし始めているのかも。

> 真は、「生きていく」とか「繋いでいく」という意志が希薄な人という感じがするのですが、周りの女性たちは真の意志とは無関係に子を望みまた育んでいく……
もう、canariaさんたら、ほんと、仰るとおりなんですよ! この人、自分のこと、もしかして幽霊じゃないかとか思ってるんですよね。いや、そんなわけないのですけれど、生に対して執着がないというのか、その理由は今回のこの物語で明らかになるのですが(いや、絶対ゾンビではありません)……結果的には、たったひとりの子どもを残してこの世から消えちゃいますが、それがあのぼ~~っとした子かぁ(今、続きを書いているので、余計に存在感のある慎一)。それに真世代にくっつかなかった相手の子孫と、真の子孫が結婚してたりして、この辺はちょっと遊んでいます。やっぱ美和ちゃんとはどこかでくっついてほしいな~って思っていたし、姫の子どももね。
いや、全然的外れではありませんよ!

> ところで、舞さんはこの二人のことを知ってるのでしょうか?
> 知ったとしても、彼女はあまり激怒しないイメージがあります……
お。鋭いご指摘です。実は分かりません。多分、相手が誰だとか分かってなくて、誰かいる、それもひとりじゃない、とは思っているかも。そう言えば、私、自分で書いていて何ですが、竹流が自分の本当の父親を誰だか知っているのかどうかもよく分からないのですよ。実は知っているような気もするし、知らないような、もしかしてと思っているかも知れないけれど、敢えて本人も追求する気がないというのか、だからどっちでもいいか!って思っていたりします。この、舞が知っているかどうかも、ある意味、どっちでもいいか、なんですよね。そもそも、彼女にとっては、ダンナ=合法的に子どもを育てるための必要物件、ですし、自分も想う相手は別に居るし、ダンナにとって自分が複数の相手の中のひとりでもまぁいいか、なのかも。この子も生い立ちからしてあまり幸福ではないので、ひとりのダンナにひとりのツマなんて安定した関係にそれほど信頼性を置いていないのでは、と思うのですよね。たぶん。
人生って複雑。そしてそれを書くのが楽しいのでした(^^)/
それにしても、canariaさんをはじめ、皆様のご指摘の方にいちいち「なるほど~」と思っている無責任な作者になりつつあるなぁ。きっとキャラたちは「なんか扱いがひどい」と思ってるだろうなぁ^^;
コメントありがとうございました!! 竹流の登場は次々回くらいですが、いちいち皆さんから「なんてことになってるんだ!」とおしかりを受けそうなあれこれ、なのです。

彩洋→canariaさん #nLQskDKw | URL | 2018/09/03 01:12 [edit]


こんばんは。

なんでしょうね。ここのところネットに跋扈している、あら探し専門の小姑みたいな人たちからすると「許せない!」と糾弾される行為なんでしょうけれど、真って、きっと善悪とか、本当の愛とか、そういう概念とは違う所で生きている、それだけなのかなと思いました。それに、そもそも善悪とか本当の愛とか、そういうものは、幻想なのかなとも。

竹流の方は、バリバリの西欧の価値観の中で育った人だろうから、たとえ自分がそうなったとしても悩んだり苦しんだりすると思うんですよ。なんとなく。でも、真って、カトリックよりも、神道の価値観に近いんじゃないかな、と。

いろいろな意味での希薄さを感じます。相手に対する愛情が足りないというのではなくて、むしろ自分に対する執着とか、筋の通った生き方をしたいというような哲学とか、そういうものがものすごく薄いように思うんですよね。自分の生命の危険も顧みずに、前作で竹流のために火の中に飛び込んでいったはずなのに、今はぼーっと離れて、特に夢中でもない人と結婚して、また、べつの所では「子供が欲しいなら……」と人ごとのように行為をしている。そして、それに対して、「真ならそうかもね」と読者の私が納得してしまっている。凄いな。

四十歳の前後って、女性にとっては最後のあがき、みたいなところがあるじゃないですか。まあ、当時の四十は、今の五十くらいの感覚かもしれませんけれど、少なくとも女性の体という意味では、同じかなと思うんです。女性ホルモンも最後のあがきをしてしまうというのか、「オス探せ! とにかくやっとけ」みたいに女性を駆り立てるような。男性は、とくに真のような年齢だと、そういうことがわかりにくいのかもしれないなと思います。こういう時に、ああいう態度をされると、はまるんですよね。きっと。

涼子さん、厄介なことになっていますが、彼女は彼女なりに幸せになることを願っています。うん。

そして、ヒロイン(違う)は、築地? ネコ拾っていたりして?

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2018/09/03 01:32 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

そういえば、たまにものすごく清廉潔白な内容を求める方々がおられますね。いえ、それはそれで良いのですけれど、確かにそういう方々からしたら、真なんか針のむしろ・クズ・カスだなぁ。でも、世の中そんなに真っ白じゃないんだよなぁ。許せないって立場の方々は、まさしく立ち入りをご遠慮くださいってことになるけれど、まぁ、幸いこの話を読もうなんて奇特な方々にはそういう人はおられないと思われます(たぶん)。お伽噺みたいに「いつまでも幸せに暮らしました」なんて、そうは問屋が卸さないってことなのですけれど……
始めからそう簡単には幸福と不幸、善悪、白と黒は分けられないんだよって話なので、真の人生なんて最後の方、絶対に不幸すぎるってことになるけれど、それも世間一般の基準から見たら不幸ってだけで、本人の立場から見たらものすごくハッピーかも知れない、って思ったりもするし。時々、昆虫の生態とか見てると、なんでこんな生き方(虫生?)してるんだろ、蝉なんて成虫になってから7日間しか生きられないなんて、っていわれるけど、実は土の中で幼生でいるときがものすごく幸福かも知れないじゃないですか。
真がこの世でうまく生ききれなかった理由は、夕さんのご指摘の通り、「善悪とか、本当の愛とか、そういう概念とは違う所で生きている」だったかもしれないなぁと思いました。福嶋との関係だって、本人にしてみたら「なんでこんな奴と」って自己嫌悪よりも、これはこれで必要、って感覚のほうが強そうだし。
うん、本当に、「真実の愛」なんて実は幻想なんですよね。でも、幻想だからこそ、そうありたいと切実に願うことは大事だったりもする。
息子の方は、母親の「何が何でも生き抜いてやるDNA」が水面下で発動していて、さらに適度にぼ~っとしているので(音楽以外のことについては人間失格というのか、音楽のこと考えて歩いていたら強盗に遭っても刺されてても気がつかないような)、生き切れたのかも。

そしてまた、端的なご指摘ありがとうございます。そうなんですよ。竹流って、ああ見えて(どう見えて?)結果的に善悪にものすごく敏感というのか、本人はあまり意識しないまま、「人はこうあるべき」「自己犠牲とはこういうふうに使うもの」という型から抜け出せないのですね。
この話の中で、葛城昇がものすごく荒れているのですが、その理由がイワン東道いわく「竹流の偽善的な姿が許せない」なんですよね(もちろん、可愛さ余って憎さ百倍、愛情の裏返しなんですが)の世界です)。昇は分かっているようでいて、たぶんヴォルテラの家の立ち位置というのか当主たるもの自己犠牲は当たり前、って精神がいまいち信じられないんだと思うのです。
そこがね、夕さん仰るとおりの八百万感覚なのでしょうか。でも面白いですね、日本みたいな島国では八百万で、ヨーロッパのような多民族が隣り合っている大陸では多神教を押しのけて一神教が主流になっていくっての。

「希薄さ」かぁ。なるほど。う~む。皆様、本当に上手く表現してくださるなぁ。真は自分のことをこの世で影が薄いと思っているのですよね。で、実は、あの浦河の崖から落ちたとき、実は死んでるんじゃないかって馬鹿なことを真面目に思っていたりする。今は長い夢の中にいるって、そういう感覚。だから、誰と何をしても、もうこれは幻って思えてしまっているのかも。自分を最も確かな存在にしてくれるはずの相手が神か菩薩の域に行っちゃってるからなぁ……ままならないですね、人の想いって。
> それに対して、「真ならそうかもね」と読者の私が納得してしまっている。凄いな。
ううむ。納得していただいて嬉しいような、「真、しっかりしろよ」って言うべきなのか……

そして、涼子の「最後のあがき」にも触れてくださってありがとうございます。
これね、本当に、どうなんでしょうね。ものすごくこだわる人とそうでない人がいると思うのですが、彼女の場合は特に、もっと違う相手と出会って恋していたらこうなってなかったってのがあると思うので、女の身体としての本能が働いたのではないかなぁと思います。まさにホルモンのあがきですよね。涼子は良くも悪くも女という生き物なので、こういう面も出してみようと思ったのですが、それにしても真ってDNAとしては人畜無害に思われているのか、あんなのなのに結構オスとしては魅力的らしい。
そうですね、こういう女性がちゃんと幸せになる社会であって欲しい。まぁ、考え方次第なのですけれど。私の中では、彼女は更年期障害で苦しんでいる頃に、「この人の死を看取ってもいい」「この人のおむつなら替えてもいい」って思える結構年配の男性と知り合って、それなりに穏やかな人生の後半なんじゃないかと思ったりしています。

> そして、ヒロイン(違う)は、築地? ネコ拾っていたりして?
はい、ヒロイン(だからチガウ)は築地におりますよ。まだネコを拾ってませんが、この話の後半で、真と一緒に北海道から北海道犬とオオカミ犬をもらってきます。でも結局それは真が飼っちゃうので、竹流はその後で築地の市場で捨て猫拾うかな。それで、マコトって名前つけて、真に怒られる(でも真もネコにジョルジョって名前つけてたらおあいこ)(*^_^*)
それでは、ヒロインの登場まで今しばらくお待ちくださいね。
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2018/09/03 20:00 [edit]


更新、お疲れ様でした。

ふむう、真と涼子が密会している理由って、お互いに竹流から得られないものを求めあっている、一種の代償行為的なもののような気がします。そうするとこの二人、直接つながっているように見えて、結局は、竹流を介してつながっている。「俺たちの会話って、あいつの話題で持っているよな」というヤツ(イミフ) でも、そういうつながりって、行先がないような気がします。ただ、どちらからもなんとなく離れられなくて、現状維持ってところでしょうか。

で、涼子は子どもが欲しくなっちゃったんですね。でもシングルマザー確定だよなぁ。しかも、竹流の代わりとしての真の子どもという意図ならば、それはそれでとても不幸なことのように思えるんですけどねぇ。まあ、本人が望んでいるのなら、しかたないけど。ある意味、なにかのきっかけにはなるかな。でも、それで生まれてきた子どもがねぇ……。

そして真もまた、子どもを欲しがっていた。うむむ、なんか真って、自分の何かを残す、生きていた証とか、そういうことにあまり興味がないような印象だったので、ちょっと意外です。

このこんがらがった状況、久々にご登場の正ヒロイン(違うw)が快刀乱麻、というわけにはいかないんだろうなぁ。よけいにこんがらがりそうだし。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2018/09/05 20:17 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

このシーン、TOM-Fさんに怒られないかな~と心配しておりました。
いや、このシリーズ、怒られそうなシーンばっかりかも知れませんね(;_;) えっと、まぁ、何を書いてもフリンの言い訳にしか過ぎないのですけれど、お互い傷をなめ合っているだけでもその時だけ何かを埋め合わせることが出来るってのは、現状では救いなのかなぁと思いながら書いていました。うん、仰るとおり、代償行為ですね。
実際に涼子と真は、逢っていても何していても、一言も彼の話をしていなかったと思うのですよね。でも今回は、涼子の方から言い出しちゃった。涼子はずっと真のことをお腹の中では恨んでますからね^^; でも、恨んでいるけれど、頼ってもいる。複雑な気持ちなんですよね。
たしかに行き先はなさそうですね。でも、きっとどこかに行こうともしていないだろうし、行けなくてもいいと思っているし、それでも必要。人生も人と人との関係も一筋縄ではいきませんね。でもこういう関係を書くの、嫌いじゃないんです(って、気がつかれてると思いますが)。

真も、別にあの人に会えないわけじゃないし、実際にこの後一緒に居るシーンは出てくるのですが、なんかね、これまでのような蜜月感はないですね…もともと老夫婦みたいな面もあったりしたから、逆に分かりすぎてて何も言えなくなるんですよね。その微妙な空気感とか、楽しんでいただけるといいなぁと思います。
まぁ、どうなっちゃってても、この二人は最後の最後になると「で、結局ラブラブなのね」で終わっちゃうのかも。いえ、表に出てくる現象はあんまりハッピーではないのですけれど。それでも、表向きの「それから二人はいつまでも結構不幸に暮らしました」って姿とは違う感情の流れがあるのですよね。あ~、こういうのも書くのが好きなんだなって……(きっと思われていると思うけれど^^;)これを言葉で書かずに感じてもらえたらいいなぁと思うのでした。

涼子の「子どもがほしい」ってのは、きっと本気じゃ無いと思うのです。いえ、本気なんだけれど、本当にそうなったら困ると思うんですよね。彼女の言動は分かりにくいようでいて、常に二つの感情が入り交じっているんじゃないのかなぁと思うのです。子どもについてはタイムリミットがあるので、時々そういう感情がわっとわき出すけれど、現実を考えたら本当は無理とも思っていて、しかも、真の子どもなんてありえんでしょう、とも思っている反面、この選択肢はもしそうなったらそうなったでそんなに悪くないとも。でもきっとそれは本気じゃないと思うんですよね。う~ん、説明するの難しいのですけれど。女には感情やホルモンで動く部分と、かなり理知的に動く部分が常に両立しているのですね。

真は、雄の本能は決して少ない方じゃないと思うのですけれど、それを変な方向へ歪めちゃっているので、この人もまた、子どもがほしい自分と、父親になる自分は想像できないという面が常に二律背反している。たしかに自分の何かを残すことには興味がないと思うけれど、それは自分の父親との関係に根があるんでしょうね。だからもう、ぜったい女の子がいいと思っていたと思う。だからもしかして、葉子に言ったのも、積極的に女の子がほしいと思ったのではなくて、男の子という選択肢はないというだけの台詞だったのかも知れません(ブラック真……)。幸せそうに見えたってのもあくまでも素っ頓狂で思い込みの激しい姫の感想にすぎませんものね。いや~、あれこれ考えると面白い^^; でも結果的に生まれるのは息子^^; で、一応静かに分かりにくく可愛がっていた……長生きしなかったから、息子の記憶には何も残っていませんでしたけれど。

こんな分かりにくい奴らばかりですが、引き続き可愛がってやってくださいませ。

> このこんがらがった状況、久々にご登場の正ヒロイン(違うw)が快刀乱麻、というわけにはいかないんだろうなぁ。よけいにこんがらがりそうだし。
すっかりヒロイン確定のあの人。今頃どこで何を(……言えない(@_@))
もうしばしお待ちくださいませ。
コメントありがとうございました!! また私も綾乃ちゃんに会いに行かなくちゃ。

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2018/09/12 02:32 [edit]

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