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コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

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【雪原の星月夜-7-】 第2章 霧の港(3) 深み 

【雪原の星月夜】7回目です。
時間が経つのって思った以上に速いのですね。って、毎年言ってるけれど、もう12月。妙に暖かい日が続いてちょっと気持ち悪いのですが、週1アップしたい小説、同じく週1でアップしたい旅行記が滞っています。スペインのメスキータの記事は半分書きかけなのだけれど、今年中にはスペインを終わらせたい。そして、これもまた書きかけの60000Hitのリクエストも終わらせなくちゃ。

「物語はまだまだ序盤ですので、それほどの事件も起こっていません。このお話、二つのことが同時に起こっているのです。私の話にありがちな、多重構造です。ひとつは真の実父と同姓同名の男が行旅死亡人(身元がはっきりと分からない死亡人)となっていること、もうひとつは、神路月(昴)という女性童話作家の失踪です。しかも彼女の失踪の背景には暴力団絡みのきな臭い話も絡みついているようです。」
……と書いた前回から、またまた何も進んでいませんが、今回ようやく皆様お待ちかねのヒロインあの人が出てきます。しかも……! っと、それは本文で驚いてくださったら?(いや、別に驚かないかも)
何よりも、ここで真の多重人格性が如実に表れていることが問題かも。修羅場をくぐってしまった後の二人は、離婚した元夫婦のような、かといって、切っても切れない粘っこい糸に絡まれて身動きが取れないのですが、竹流はすっかりストイックに戻っていて、今や「菩薩」です。真は一人で足掻いている……

このシーンは実は長いので、2回に切っています。ええ、お待たせしましたから、しっかりどっぷり、二人の世界に浸ってくださいませ。あれ? それにしては会話が不穏? はい。そもそも不穏なお話なんですよ。
でも、傍目から見たら、何だよ、もう、どうせラブラブなんでしょ、と言われかねません。いつものことですが。

【真シリーズについて】
【雪原の星月夜】の登場人物紹介はこちら→【雪原の星月夜】(真シリーズ)登場人物紹介
万が一、前作【海に落ちる雨】に挑戦したいと考えてくださる方は→左のカラム・カテゴリから選択してくださいね。
【海に落ちる雨】部分読みも可能
【海に落ちる雨】始章:竹流と真の生い立ち
【海に落ちる雨-52-】第9章 若葉のころ:真の中学生の頃。
【海に落ちる雨-59-】第11章 再び、若葉のころ:真が高校生の頃。
『若葉のころ』には真の学生時代が登場、今回の物語で登場する母校の院長(校長)先生や灯妙寺も少し登場。



【雪原の星月夜・第1節】 第2章 霧の港(3) 深み

 マンションを訪ねようと思ったのは気紛れだった。
 いや、時計を気にしている諏訪の様子を見ながら、空白の時間のほうが長い会話を上手く操れず、真の頭の中にはまるきり別のことが浮かんでいたのかもしれない。

 長い航海で疲れた水夫の身体を慰め温める、霧に包まれた港という名前通り、苦難も喜びも不安も何もかもを隠してくれる、そういう雰囲気をあの店は持っている。上階のレストランやトラットリアにしてもそうだが、こだわり抜いた空間設計は、テーブルや椅子、ソファといった調度はもちろんのこと、灰皿や植物、従業員の服にまで、何処にも気を抜いたところがないにも拘らず、全て何気なく配置され、その距離感までもが、ここに踏み込んだ者を心地良い気分にさせてくれる。
 そのまま霧に包まれて隠れてしまいたい気持ちにさせられたのだとしたら、オーナーの思うままなのかもしれない。

 店を出て、駅前で電話を掛けた。帰れないかもしれないと言うと、舞はなんとも返事をしないまま電話を切った。
 受話器を置いた後も、真はしばらく電話の前に立ちすくんでいた。だが他人の視線が気になって、もう一度受話器を取り上げ、一瞬指を彷徨わせたあとで、ダイヤルを回した。

 呼び出し音は長く続いた。もしこの電話に相手が応えなかったら、目的地を変えようと考え始めたとき、もしもしという小さな声が聞こえた。
「美和ちゃん? 大丈夫か?」
 少し時間を置いてから、美和が幾らかしっかりした声で答えた。
「先生? うん。ごめんね、今日何だかいらいらしちゃって。休んだら少し落ち着いたから」
「明日、無理しないで休んだほうがいいぞ。名瀬先生のところに行った帰りに寄るから、マンションにいてくれ」

 美和は少し考えていたようだったが、そうだねと答えて、気を取り直したように、少しだけ元気な声で、じゃあ待ってる、と言った。
 電話を切って、真は思わずコートの襟を立てた。
 今日、図書館で会った女子高生たちの朗らかな笑顔を思い出していた。出会った頃、いや、真がローマに行くまで、美和もあんなふうに笑ったのだということを思うと、自分が何かをしてやれる立場ではないのだとしても、たまらないように気持ちになった。

 真が嵌まり込んでいるのは、自分勝手に落ちた闇かもしれない。だが、美和は半分そうではない。ヤクザと知っていて仁と付き合っていた部分には非があるのだとしても、二人で未来を描けるチャンスは幾らでもあったはずだった。少なくとも、北条東吾は甥をヤクザにするつもりはなかったのだ。
 だが一方で、仁の立場もよく分かっていた。この世界では、一度ヤクザものになった人間たちが堅気になろうとしても簡単にはいかない。堅気にもヤクザ以上に小汚い人間は幾らでもいるが、レッテルというものは恐ろしい。仁はそれが分かっているから、東吾を慕う若い衆たちを見捨てることはできなかったのだ。

 そして仁は美和に、俺のために死んでくれとは言えないでいる。美和にはその躊躇いがよく分かっているのだ。竹流もまた、結局は真の首を絞めることができなかった。

 真は有楽町から山手線に乗り、街の明りがちらちら灯るガラスの中の闇に浮かぶ自分自身の影を見つめていた。
 涼子の言うとおりだ。この幻のような影は、この世を彷徨うあさましい鬼宿のようなものだ。こうなってもまだ会わずにはおれず、会えば一晩、せめて一夜でも一緒にいたいと願ってしまう。そして、できればその闇の夜が永遠に自分たちを飲み込んでしまってくれたらと、今でも願っている。ずっと一緒にいることはできないということは、もう実証済みだというのに。

 身体が覚えた道筋を、もう何の意識もせずに辿る。その無意識の心の内を見つめ続けることが恐ろしくなって、真は何か他に考えるべきことを探した。まず美和のことを考え、彼女が食欲まで失うなんてのは余程の事だと思いながら、明日は美和の好きなケーキを買っていってやろうと思った。
 それから神路月のことを考えた。

 正式に依頼を受けたわけでもないので、まだ神路月、本名神路昴のことを詮索するのは早すぎるのかもしれないが、真は自分が既に何かに足を引っ張られているような気がした。
 理由ははっきりしている。
 本の表紙に描かれた雪原の星月夜。ひどく懐かしく、心ごと持って行かれそうになるあの風景は、真の夢の中に幾度も出てくる世界と同じだった。真の夢の中で、その風景は時には風の吹く草原であったり、静かな都会のビルの谷間の大通りだったりすることもあるが、具体的な景色の問題ではなかった。そこにある何とも言えない寂寥感、孤独感は、何かを探し続けて歩く真の身体の周りにいつも漠然と纏わりついていた空気と同じものだった。

 何故、あの本には真の脳の奥深くに潜んでいる光景が描かれているのか。そしてその絵を描いた人は、何故アイヌ語の名前を持っているのか、あるいは何故神路月はアイヌの文様を描いたブラウスを身に付けていたのか。
 思考回路が堂々巡りを始めたとき、真はほとんど無意識に電車を降りた。

 マンションの鍵はまだ返していなかった。竹流は一度も返してくれとは言わなかったし、今でも真が訪ねて行って勝手に部屋に入っても気にしないだろう。もっとも、真はほとんどコンシェルジェを通して来訪を告げていたし、そうでなければ電話を掛けてから行くようにしていたので、鍵が必要になることは全くというほどなかったのだが。
 コンシェルジェはエレベーターに向かう真と目が合った時も、真が自然に会釈をしたからか、気にしなかったようだった。あのコンシェルジェにとっては、真はまだこのマンションの住人なのだろう。

 真はエレベーターに乗り込み、鍵を差し込んだ。エレベーターはボタンを押さなくても自動で住人をその階に連れて行くようになっている。鍵をポケットに戻し、真はいつものように左手の薬指の結婚指輪を抜き、鍵と同じポケットに入れた。
 決して不意打ちを演出しようとしたわけではなかった。女をマンションに上げて抱き合っている真っ最中である可能性も考えないではなかった。もしそういう現場に遭遇したら、素直に引き返そうと思っていた。
 とは言え、勝手に鍵を使ってドアを開けるのはどうかと思い、さすがに真っ最中に遭遇する勇気はなく、結局玄関ドアの呼び鈴を押した。

 押してから、そうだった、と思い至った。彼は今、誰かとベッドを共にすることはできないはずだった。少なくとも、真の知る限りは。だが、彼が真に自分が持つ全ての顔を見せているという確証はない。
 静かだった。真は目を閉じ、扉の横の壁に凭れ、もしも彼がいるのなら背中に微かな振動でも伝わってくるだろうと思いながら、呼吸を潜めていた。何かを探ろうという気持ちがあったわけではない。ただこの静かな世界が突然に恐ろしくなっただけかもしれない。

 不意に、身体の内に溜め込んでいたもろもろのものが噴き出してしまうような、唐突な感情の嘔気に襲われて、真は息を止め、腹のうちに全てを納め戻そうとして、自らの心を深く沈めた。水道の蛇口をきつく締めるように、唇を噛む。
 昨夜からの出来事だけを数えてもこんな調子なのだ。一体、このマンションを出てから、どれほどのものを呑み込み、溜め込んで、声ひとつ上げずにいたというのだろう。

 長い無音に、留守なのかもしれないと思い始めた。身体がひどく重くなったようで、そのまま崩れるようにしゃがみこんだとき、壁の向こうから足音の振動が身体に伝わってきて、やがて扉が開いた。
 しばらく沈黙が続いていたような気がする。真は眩暈を感じて、頭を持ち上げることができなかった。
「大丈夫か」
 いつもと変わらない、穏やかなハイバリトンの声だった。

 その声を聞くと、再び感情の波がうねるようにこみ上げてきた。
 昨夜からほとんど眠れていないような気がしたし、福嶋の部屋を訪ねた時点から溜まり続けていた何かが、もうこれ以上は抱え込めない限界に来ていた。それでも、溢れ出しそうな感情を呑み込むことにすっかり慣れきっている自分が、哀れで悲しく、可笑しくさえ思えた。

 真は返事もせず、顔を上げることもできないでいた。すると、竹流の気配がごく身近なところへ降りてきて、さっきよりもずっと近くに彼の声を感じた。それと同時に鼻先をかすめた匂いが、真の中の一番触れられたくない部分を締め付けた。
「中に入ろう」
 真が動けないままでいると、竹流の手がふわりと頭の上に載せられた。

 不自由だった竹流の身体は、今は余程気をつけて見ても、どこか具合の悪いところがあるようには見えない。もしも彼の本来の職業が修復師という、僅かな手先の感覚に頼るようなものでさえなければ、彼には全く不自由という側面はなかっただろう。
 真はようやく顔を上げたが、竹流の顔を見るよりも早くに、玄関で客人の靴を見つけてしまった。竹流は真がその靴に気が付いたことに対して、何も言わなかった。

 居間のソファで煙草を吸っていた客人は、真が部屋に入った時、息をつくようにして煙草を灰皿で揉み消し、立ち上がった。
「帰る。七夕の逢引を邪魔するのは野暮だからな」
 その時、北条仁は無造作に半分だけ留めてあったシャツのボタンをそのままに、ソファに放り出してあったネクタイとスーツの上着を取り上げた。
「仁さん」
 頭が何かを理解するより先に声と手が出ていた。真の傍を掠めようとした仁は、真が摑んだ手をそのまま摑み返してきた。
「説教は聞きたくねぇな」
 しばらく、真は仁と睨み合っていた。

 自分自身の身辺のことで精一杯だったから、いつも美和と仁の様子をうかがっていたわけではない。だが、少なくとも真が結婚する前、そしてその幾分か後でも、美和の様子を見る限り、幸せそうであったかどうかは別にしても、二人が追い込まれている気配はなかったように思う。
 だが、このところ、仁の顔つきはすっかり変わってしまっていた。もともとの顔の造りは彫が深く、そこそこに肉付きがあれば厳ついながらも頼りになる逞しい顔つきに見える男だったが、今は幾らか頬がこけたようになり、精悍という状況を通り越して凄惨なムードさえ漂わせていた。

「美和ちゃんも宝田も心配してるんですよ」
 仁は摑んだ真の手を、彼の方に引き寄せた。
「じゃあ、お前が美和を慰めてやれ」
「何を言ってるんですか」
 仁は鼻が引っ付くほどに真に顔を寄せて、意地悪く笑った。
「お前も、指輪を外して浮気をする狡猾さは身に付けたってわけだ。それとも自分がどういう人間だか、ようやく気が付いたってことか。そんな善人ぶった顔をして、嫁をもらって子作りに励んでるくせに、一方じゃ昔の男も忘れられない。それどころか、まだ足りなくて、突っ込もうが突っ込まれようが、今じゃ手当たり次第って訳か」

 一体、仁が何を言いたいのか、真はよく分からなかった。仁は鼻先で笑うと、真の頬を軽く叩いた。
「福嶋鋼三郎が言ってたぞ。お前にクスリを覚えさせたらイチコロだろうってな。だが、お前はそこまで馬鹿じゃない。さんざん修羅場を見せられてるからな。代わりに別のものにのめり込んじまってるわけだ」
 一瞬にして体が凍りついたような気がした。自分でも気が付いていたことだ。子どもを亡くしたことはただの言い訳に過ぎない。
「福嶋がな、気をつけてやれって、お前の保護者みたいな口をききやがる。お前がセックス依存症だって、下手するとそのうちに見ず知らずの他人に身体を任すようになるぞってな。しかも、追い込まれて痛めつけられるようなセックスでなければ感じないようになってきている」
 真は少しの間、言い返す言葉を無くして仁の顔を見ていた。

 仁が言っているのは、今の状況について他人の、特に真の意見など、聞きたくなどない、ということなのだ。覚悟を決めているのだから、一切、外野の声は耳に入れない、という意味だ。
 だが、仁が本当に完全に迷っていないなら、この期に及んで美和を遠ざけたりはしないだろう。北条仁は今でも、美和についてだけは迷っているのだ。
 中途半端に美和を傷つけるくらいなら、いっそ別れてやってくれと言いたい。だが、仁も、それ以上に美和も、やはり離れることができないのだ。

「高円寺には近付くなと宝田に言っておけ。お前も、しばらくヤクザが絡むような仕事は引き受けるな。それからな、福嶋にこれ以上縋りつくような真似はよせ。あいつは俺以上に腹の中が真っ黒な極悪人だ。お前があの男の身体の下で喘いでるとこなんぞ想像したら、こいつもまたお前の首を絞めたくなるだろうよ」
 顎だけで竹流のほうを示してそう言うと、仁は真の手を離し、居間を出て行こうとした。
「仁さん、せめて美和ちゃんに」
 仁は立ち止まったが、振り返らなかった。
「お前は美和を殺したいのか」
「仁さんこそ」
「美和をどうするかは俺が決めることだ。お前に意見される筋合いじゃねぇな」

 テーブルに置き忘れられたライターを取って、竹流が慌てる様子もなく仁を追いかけた。仁は玄関ホールで適当にネクタイを結び、コート掛けに手を伸ばしかけた。先に仁のコートを取り上げた竹流が、何かを訴えるような気配でそのコートを仁に手渡している。
 二人の間に真には分からない無言の会話があり、それは必ずしも友好的なものではなく、かといって敵対するばかりでもなく、ただ共通の了解のような気配があった。
 仁は竹流からコートを受け取り、竹流が無造作に渡そうとしたライターを取りかけて、一瞬真のほうを振り返りかけ、そのまま竹流を抱き寄せるような仕草をした。竹流はそれを半分受け入れ、半分かわすような淡々とした表情で、仁の手にライターを押し付ける。

 生きてりゃ、来週な。
 仁は確かに竹流の耳元にそのように告げて出て行った。声なのか、振動なのか、唇の動きなのか、その切羽詰まったような、一方で諦念に全てを譲り渡したような気配だけが、真の鼓膜と網膜を刺激した。玄関の扉が閉まるまで見送る竹流の横顔もひどく冷めていて、その一方で、彫刻された菩薩のように静かで、気味が悪いほどに慈愛に満ちて見えた。

 だが、一瞬先には、竹流はいつもの表情に戻っていた。居間への入り口で突っ立ったままの真の肩を軽く叩くようにして、中に入るように促す。
「お前、また何も食ってないんじゃないのか。低血糖だといらいらもするだろう。何か作ろう」
 その瞬間、さっきまで考えまいとしていたあの匂いの正体を追求しないではいられなくなった。
「何で仁さんがここに来てるんだ」
 微かに竹流の身体から甘い、香木の香りが匂っていた。彼独特の密かな体臭で、その匂いがどういう時に最も強くなるのか、真はよく知っていた。

「北条さんも行き場がないんだろう。自分からこの状況を打破するために切り込むわけにもいかず、かといってじっとしているのも性分に合わない。とは言え、あの人でも、ヤクザ同士の縄張り争いに下手な仲介役を買って出るほど馬鹿じゃない。誰かが首を差し出さないと納まらないということもよく分かっているし、仲介役どころか、首を差し出すのが自分の親父かもしれないと思ってるんだよ」
「そんなことは分かってる」
 竹流は真を促してソファに座らせると、自分は台所に入っていった。

 真の頭の中は、この数分の間に起こった出来事を処理できずにごった返していたが、結局のところ、今さらどうしようもないと納得するしかないと分かっていた。
 台所からは軽く包丁を動かす音、電子レンジの立てる微かな音、それからしばらくすると何かを炒める音がごま油の香ばしい匂いと一緒に伝わってきた。
 心臓の鼓動や呼吸だけは少しだけ落ち着いてきて、真は頭の混乱はそのままにしてダイニングに入った。

 いつものように手際よく料理をする竹流の後ろ姿を、真はしばらくの間、ただ見つめていた。ガウンの帯はきちんと結ばれていたし、着乱れているわけでもないのに、その姿にはどこかに退廃的にさえ思える色香があった。その現実的な質感にもかかわらず、今真の立つ場所からは、彼は随分と遠くにいるようだった。

 竹流は白ワインを出してきて真の前にグラスを置き、鮮やかな手つきで淡いトパーズのような色合いのワインを注いだ。
 直ぐに、蒸した鶏の胸肉と玉葱やハーブ、人参などを混ぜ合わせ、エスニックな味付けをしたサラダと、ごま油で炒めたちりめん雑魚に榨菜とセロリを混ぜたご飯、幾種類かの漬物、千切りの葱と茗荷を載せて黒ゴマ味噌だれをかけた豆腐が並べられた。竹流は時々料理に手を出しながら、彼自身はワインをほとんど一人で空けていた。

 帰るのかとも泊まっていくのかとも聞かない。泊まっていくものと決め付けているのか、それとも真の好きにすればいいと思っているのか、こういう時いつも、真もあえて聞いたこともない。食事を終えると、何気なく風呂を勧められ、真が居間に戻った時、竹流は誰かと電話で話していた。
 心地良く優しい調子の異国の言葉は、真の耳の中でいつでも音楽のようにざわめく。竹流は真と目が合うと、相手に二言三言話しかけ、受話器を置いた。

 真は話しかけようとする竹流の気配を無視して、勝手に寝室に入った。薄暗いベッドサイドの照明に浮かび上がるキングサイズのダブルベッドは、綺麗にベッドメイキングされていた。それでも、ついさっきまで、もしかしてこの上で密やかな情事が交わされていたのかもしれないという疑念はどうしても離れない。
 真が勝手にベッドに潜り込んでいると、しばらくすると竹流は寝室に入ってきて、真が潜り込んだ側のベッドの端に腰掛けた。乾いた軋みが真の身体に伝わってくる。

「コニャックは」
 真は返事をしなかった。竹流は真のこめかみから耳をそっと指で愛撫するような仕草をした。
「聞かないのか?」
 何をだろうと真は考えていた。
「電話はリオナルドだよ。お前がどうしているか、聞いていた」

 竹流の電話口の優しい話し方からは、相手が彼の叔父であるチェザーレではないことは想像できていた。リオナルドなら納得がいく。秘められた深い血の絆は、本人は知らなくても呼応する何かがあるのだろう。少なくともリオナルドは、口に出しては弟とは呼べない従弟を、心から愛し心配しているのだ。ローマから戻って同居していた頃も、リオナルドは三日とおかずに電話をかけてきていた。
 だが電話のことなど、気にするほどのものでもない。

「電話以外の言い訳はしないのか」
 つい、つっかかってしまった。竹流はしばらく、真の頭を、子どもを宥めるように撫でていた。
「お前がここを出て行った当初はそういうこともあったがな、それはただ俺がお前を失って狂ってしまわないかとあの人なりに心配してくれただけだ。今はただ、あの人はどうともできない気持ちをぶつける先がないだけなんだろう。少なくとも、俺が同じ修羅場を味わってきた同士だと思っている」

 淡々と語られる言葉に、真は身体が凍るような気がした。目を閉じれば、遥か風に乗って運ばれる潮の香り、波音までが五感の記憶装置に響く。溢れ出しそうな感情とは裏腹に、どこかに恐ろしく醒めた自分がいて、彼に何か辛らつな言葉を言ってやろうかと冷静に分析しているのだった。だが、結局、真は全く別のことを言った。もちろん、心の片隅にずっと引っかかっていることだった。

「美和ちゃんが辛そうで、見ていられない」
 竹流は少しの間手を止め、それからまた静かに真の髪に触れた。
「美和ちゃんだって、あの頃、同じことをお前に対して思ってただろう。なぁ、真、結局は二人にしか決められないことだ。お前が何を言っても、北条さんと美和ちゃんには、彼らにしか出せない答えがある」
 自分たちはもう答えを出したということなのか。そう考えて、真は今さらながらに、まだ自分が答えになど辿り着いていないことを思い知ったような気持ちだった。竹流が過去形で語る全てが、耳にも肌にも突き刺さるようだった。
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Category: ☆雪原の星月夜 第1節

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コメント


こんばんは。

久々の続き! いよいよ、ヒロイン(じゃないってば)が登場! 待っていました。

さて、今回の真ですけれど、苦悩と葛藤がにじみ出ている、いつにも増して彼らしい姿なんですけれど、これって要するに拗ねまくっていますよね。

で、いかにも竹流に去られた的にぐるぐるしていますけれど、ええと、でも、結婚したのはどっち? というツッコミも、小さな声で言ってみたくなるシチュエーション。

それに、福嶋のところから直接来たわけじゃなくて、一度嫁のところにも帰っているのに、存在すら脳裏に浮かんでいない模様で、ううむ、結婚はしたものの、竹流にとっての珠恵さんと違って「あれはあれだけど、それとは別に君のことは真剣に愛しているんだ」的な理由で結婚したんじゃないのね、となんかここで納得してしまいました。違いますよね?

【海に落ちる雨】や【清明の雪】のそれぞれで、自分の想いを自覚して、腹もくくったはずの二人が、なぜこうなっているのかなあと、人生は上手くいかないものなのか、それとも上手くいったものもわざわざぶっ壊して回るタイプの人がいるのか、わからないまま、もどかしく読んでいます。

こうなってくれて、ヴォルテラパパ的には万歳なのかな。でも、竹流が日本に戻ってきちゃっているから「失敗」なのかな。ううむ。

アサクラパパと同姓同名の方の話と、童話作家の話の他に、ヤクザ界のゴタゴタも同時に進行していますね。それが美和の人生にも関わっていて、【海に落ちる雨】に負けずに複雑に絡み合った何本もの糸が紡がれているようです。

お忙しいと思いますが、続きをお待ちしていますね。

八少女 夕 #9yMhI49k | URL | 2018/12/08 06:53 [edit]


更新、おつかれさまでした。
みなさんお待ちかねのヒロインこと、あのお方のご登場ですね。

なんだかんだ言って、やはりそこに行き着くのか~と思っていたら、なんと意外な先客が。

仁さん、さすがにストレートだなぁ。なんか鬼気迫るという感じで、戦場に赴く直前の武将のようでもあります。相手が真とはいえ、気をまわしている余裕がないのかもしれませんけど。

そしてさんざん煽られたあとだというのに、まぁ真と竹流のやりとりというか距離感というか、微妙だなぁ。漂白されちゃったみたいな竹流が、たしかに菩薩状態あるいは賢者モードという感じで。料理はおいしそうだけど。つか、真、舞が朝食を作ったときももそうだったけど、なんか黙って座ると御飯がでてくるんですね。いいなぁ(いやそれは重要じゃないw)

でも、やはり竹流と真は、別れるべきじゃなかったんだろうなぁ。
ぐるぐるでもいいから、付かず離れず、くらいのままの方が良かったのかも。
今は美和ちゃんや仁さんの話題じゃないだろ、と思わずツッコミいれまくりでした。お互いを求めてるのに、こんな会話になってしまうというのが、なんともやりきれないです。
まだまだ物語は冒頭だというのに、サブタイトルの「深み」という言葉とあいまって、深海の底に沈んでいくようなずしりとした重量感を感じます。

TOM-F #V5TnqLKM | URL | 2018/12/08 11:57 [edit]


ヒロイン登場!
そうか、ヒロインには会いにいこうと思えば会いに行けるのに、
なぜだか今までずっと物理的に会いに行けないって
勝手に思い込んでしまってました。それはきっと丁寧に
綴られた真の心情のおかげですね、心理的距離感というか壁が
半端ない感じがします。

指輪を外して会いにいく、っていうのが、彼の竹流に対する気持ちと
同時に舞さんに対する気持ちの両方を表してるような気がしました。

久しぶりの仁さんですが、彼は痛いくらいに真の本音を突いちゃって
くれてる気がします……

でも、なんだろう、今菩薩モードの竹流は、性行為が物理的に
できないんですよね。っていうことは、仁さんの指摘していた
「しかも、追い込まれて痛めつけられるようなピーでなければ感じないようになってきている」(すみません、ピーのワードが不正投稿とされたので///)
な真を満たすことができないわけで(少なくとも身体面では)、
で、真的にそういう性的なことを我慢しきる、ということはできないように
思うのです。そういう意味で、彼と竹流の繋がりの通路の一つが欠けてる今、
この二人が現在、どういう形の関係性に着地しているのが続きが楽しみだなぁ、
と思いました。
確かに美和ちゃんたちは心配なのですが、真が本当にしたい
話はそういうことではないように思ったので^^
次回は二人の本音が見られるのかな?
とかちょっと期待が高まります。

canaria #- | URL | 2018/12/09 13:47 [edit]


夕さん、ありがとうございます(^^)

はい、久々のヒロイン(じゃないんですよ)登場です(*^_^*)
仰るとおりで、今回は真がマコトしてますよね。あ、ちがう、真してますよね。いえ、真するって動詞はないんだけど^^; でも、この多重人格性はまさに彼の真骨頂? いや、多重人格って精神医学的なものじゃなくて、相手によって態度を変えるというそれだけのことなのですが。もちろん、目上の者に媚びを売るとか、権力に屈する系の態度を変えるってのはないのですけれど、自分の中の価値基準によって大きく変わっているような人です。
で、美和ちゃんに対してはどこまでの保護者的になっているし、仁相手には複雑で「いつかはねじ伏せられるかも」という危機感を持っているので時々ものすごく抵抗意識を持ってみたり、やっぱり屈服していたり。一方、竹流に対しては、今までずっと被保護者だったのが、【海に落ちる雨】で立場が対等になって、時々は自分が「守る側」になったりする。ここは親子関係みたいなものだから、年老いた親をいつかは介護するって関係もあって(え? それは言い過ぎか……)、離れて住んでいても、ベースの部分ではものすごく気になっているのですよ。
でもまぁ、夕さんのおっしゃるとおり、「拗ねまくっている」だけかも? そういえば、この続きでは、まさに拗ねてるシーンが出てきます^^;

> で、いかにも竹流に去られた的にぐるぐるしていますけれど、ええと、でも、結婚したのはどっち? というツッコミも、小さな声で言ってみたくなるシチュエーション。
あ~、そうですよね~。やけくそだったとは言え、それはその通り! ここに行き着いた部分は、多分エピソード的にまた短編などを書くかも知れませんが、ちゃんとしたストーリーでは書かない予定。でも、このお話の中でしっかり思い出話?は出てきますので、事情は分かるはず。お楽しみにお待ちくださいませ。

> 人生は上手くいかないものなのか、それとも上手くいったものもわざわざぶっ壊して回るタイプの人がいるのか、わからないまま、もどかしく読んでいます。
夕さんのお話に負けず劣らず、うちの話も「そうは問屋が卸さない」なんですよね。そういう部分ではどっこいどっこいな私たち^^; 絶対に「いつまでも幸せに暮らしました」に納得しないタイプなんですよね。上手くいってもわざわざぶっ壊して回る人……多分それって、真自身かも。いえ、今回の場合は、どちらかと言うと竹流かも。
ヴォルテラパパは、自分がまだまだ「目が黒い」ので(腹も黒い(>_<))、今はもう何言ってもしょうが無いと、今回また目をつぶったみたいです。ただ、イタリアにいる間に、竹流は自分が使えるパパ様に再謁見しているので、そこでもう「この人にいつかは仕える」という忠誠心は深くなったかもです。人として惚れ込んじゃってるから。それに今回はまた、リオナルド兄ちゃんがパパを説得してくれたようで。

そして、竹流と真の「オンリーワン」であるはずの女性への態度、まるきり違うのはお見通しの通りです。竹流の珠恵への思いは、真がいなくてもびっしり詰まっているし、もしかして真に出会っていなければそれはそれで大満足の「オンリーワン」まさに「比翼の鳥、連理の枝」なんですけれど。真の場合は、出逢いの順番もあるけれど、半分は当てつけだからなぁ~(あ~あ)婚姻届を出したのは出来ちゃった(と思った)のもあるけれど。

> アサクラパパと同姓同名の方の話と、童話作家の話の他に、ヤクザ界のゴタゴタも同時に進行していますね。それが美和の人生にも関わっていて、【海に落ちる雨】に負けずに複雑に絡み合った何本もの糸が紡がれているようです。
はい。私の話って、どうしても多重構造になっちゃうんですよね。でももう、これはサガみたいなものですから、仕方ないや(>_<) 次回は、このシーンの続きです。もう少し二人にお付き合いくださいませ。
で、結局は「そうは問屋が卸さない」エピソードだと^^; 
コメントありがとうございました!!

彩洋→夕さん #nLQskDKw | URL | 2018/12/09 14:50 [edit]


TOM-Fさん、ありがとうございます(^^)

はい、皆さまに心配されていたヒロインの登場、皆様のコメントに有難さを感じております。あの人もヒロイン冥利に尽きるでしょう!(って、ヒロインじゃないって!)ヒロインじゃないけど、菩薩……^^;
そして、せっかく出て来たと思ったら、そうなんですよ、とんでもない先客がおりまして。この人の登場も、皆様、それなりにお楽しみいただけていたのではないかな~と。追い込まれているので、あまりいい雰囲気の会話にはなりませんが、歯に衣着せぬ物言いは相変わらずです。あまりにもはっきり言うので、もうちょっとデリカシーが~と思うけれど、こういう人がいないと、進むものも進まないのです。でも、この人の生き方はまさに「そういう世界に生きていて、そんなハッピーなわけないでしょ」ってものなので、ここからはやっぱり残念なことばかりなのですが、それなりに美和ちゃんへの思いは貫くことになるのかと思います(真への思いも?)。

> 仁さん、さすがにストレートだなぁ。なんか鬼気迫るという感じで、戦場に赴く直前の武将のようでもあります。相手が真とはいえ、気をまわしている余裕がないのかもしれませんけど。
たしかに! 今は毎日「戦場」で、外に一歩出るとどこから何が飛んでくるか分からない状態です。竹流の処って、もしかすると唯一「絶対大丈夫」な場所なのかも。もともと犬猿なはずですが、命のやり取りは絶対にない相手だし。そして、真に対してだからこそ、気を回さなくてもいいのかも。ここは素敵な四角関係を楽しんでくださいませ(え?)。

> そしてさんざん煽られたあとだというのに、まぁ真と竹流のやりとりというか距離感というか、微妙だなぁ。漂白されちゃったみたいな竹流が、たしかに菩薩状態あるいは賢者モードという感じで。
おお。TOM-Fさん、いい表現です。「漂白」まさにその通りです。なんか、脂が全部抜けちゃったみたいな、ですよね。この辺りは、実はすごく凌雲先生(【奇跡を売る店】バージョンの竹流)とかぶっています。なんか行き着くところまである世界を知ってしまうと、もう真っ白になるという感じで。
この菩薩化したした竹流は、真だけではなく、他の人にも大きな影響を与えているのですね。今回その煽りをガッシリかぶったのは実は葛城昇なんですよ。ここもまた人間関係を楽しんでくださいませ。
さて、『阿寒に果つ』の複数の男たちを、誰々が担っているのでしょうか(o^^o)

> 料理はおいしそうだけど。つか、真、舞が朝食を作ったときももそうだったけど、なんか黙って座ると御飯がでてくるんですね。いいなぁ(いやそれは重要じゃないw)
いや、そこ、重要です! そうなんですよ。真の特技なんですよ。「食いっぱぐれない」という。【海に落ちる雨】の時も、飢えそうになったら、澤田とかご飯を食べさせてくれるおっちゃんが現われるし、そもそもお父ちゃん(伯父さん)が失踪した後も、妹の葉子がいつでもお兄ちゃんのためにご飯を作ってくれていたし、飢えそうになったら竹流が同居を申し出てくれたし、嫁はあんなんだけれど、一応ご飯は作ってくれる。ほんとに、すごい特技です(o^^o)

> まだまだ物語は冒頭だというのに、サブタイトルの「深み」という言葉とあいまって、深海の底に沈んでいくようなずしりとした重量感を感じます。
サブタイトル、決めずに記事を用意し始めたのですが、行間とか作っている中で頭の中に「深みに嵌まる」という言葉がぽんと浮かんできて、こんなタイトルになりました。気にしてくださってありがとうございます(o^^o)
まさに、深海のそこに沈んでいきます。そうしたら、不気味な深海魚がうじゃうじゃと現われるんですよね……
二人、別れたキモチはないと思うんですよ。結局、珠恵がいても、どっちかが結婚しても、そういうことはもしかして目に入っていないのかもなぁ。常識的な反応をする脳の組織が壊れているのかも、です。結局、お互いにしか自分の脳の中に相手が占める部分を提供できないのかも。そんな感じです。
揉めても苦しくても、幸せでも愛しくてたまらなくても、あんまり関係ないのかも。
このシーン、しつこく続きます。もう1回分、お楽しみくださいませ。
コメントありがとうございました!!

彩洋→TOM-Fさん #nLQskDKw | URL | 2018/12/09 15:30 [edit]


canariaさん、ありがとうございます(^^)

わ~い。ここにもヒロインの登場を待ってくれていた方が!(って、ヒロインじゃないんだって!)
あ、そうそうそうなんですよ。会いに行こうと思ったら会いに行ける。居場所も知っているし、それどころか、鍵もまだ持っている。だからいつでも会えるのです。でも、会えないのは物理的距離の問題ではなかったのですね。仰るとおりで、真は手の届くところにいるはずの人に手が届かないもどかしさでぐちゃぐちゃしているのかも。もちろん、一緒に住んでいる時でも、その壁はあったのですね。真はきっと彼が怪我をして身動きが出来なくなって、そこから身体が回復しても、時々恐怖でどうしようもなくなっている姿を見せつけられて、自分の無力を感じ続けていたし、これほど側にいても分かってやれない部分があることに、ものすごくいらだちを覚えていて、そんなこんなで、心理的には「愛してる」の後でもものすごく遠いところにいたのかも知れません。
おかげで、某K氏と同じで(あれ、これ、イニシャルトークになってないな。早速ダウンロードしてもう半分くらいまで読んじゃった。またコメントに参りますね)、なんとか依存症になっています。いや、満たされないキモチをどこへ持っていったらいいのやら、ですよね。
この人、前を向いているときは結構善人で、年下からは割と慕われてたり、職業柄それなりに人を救っていたりするのですが、背中にいつも黒いものが張り付いているのですよね。これはもう、はがせない黒さでして。まさに、鬼平に出てくる盗賊たちみたいに「人の顔はひとつじゃないんですよ」です。こんな主人公は、イマドキの小説では受け入れられませんよね。
ま、指輪を外して会いに行くくらいのかわいらしさはまだあるみたいですね。ただ、この人、福嶋のところに会いに行くときも、外してるんですよ。うしし。
てる気がします……

> でも、なんだろう、今菩薩モードの竹流は、性行為が物理的にできないんですよね。っていうことは、仁さんの指摘していた
「しかも、追い込まれて痛めつけられるようなピーでなければ感じないようになってきている」(すみません、ピーのワードが不正投稿とされたので///)な真を満たすことができないわけで(少なくとも身体面では)……
わわわ。こういうやり方があったか! いえ、何の話かというと、コメントで不正投稿と言われたら「ピー」と書き換えておけばいいのか! 次回からそうします!
って、そこじゃないな。
まさに仰るとおりです。竹流は身体が不自由な状態から抜け出した後でも、精神的にはまだまだ苦しんでいて、そのはけ口を求めて結構暴力的になっていましたから、それがあるとき行き着くところへ行きそうになって、我に返ったんですね。この人、いつも最後に「理性」みたいなものが天から降りてくるんですよ。そうしたら、突然、つまり、「できなくなっちゃった」んですよ。
真は一緒に落ちるところまで堕ちたい人ですが、相手がそのようには思ってくれない。崖っぷちで「やっぱり辞めとこう」って言われて茫然自失なんでしょうね。それでまた、何とか必死でこの世とのつながりを探しているのかも?
その辺はまたじわじわと語ってくれると思います。

次回ですね。いや、もうますます、もどかしいシーンです^^; どうでもいい話しかしてません。で、例の「手だけで○○できるか」ってやつが登場^^; それはそれでもしかすると本音かも知れません。
本音はいつ出てくるのでしょうね。それがもしかしたら、今回の話のキラキラシーンかも知れません。冬の阿寒、やっぱりそこか! って。あ、果てるのは真でも竹流でもありませんが。
そっちは本当のヒロインですね^^; 
引き続きこのシーンの続きです。お楽しみくださいませ。
コメントありがとうございました!!

彩洋→canariaさん #nLQskDKw | URL | 2018/12/09 16:03 [edit]

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