10 «1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 12

コーヒーにスプーン一杯のミステリーを

オリジナル小説ブログです。目指しているのは死体の転がっていないミステリー(たまに転がりますが)。掌編から長編まで、人の心を見つめながら物語を紡いでいます。カテゴリから入ると、小説を始めから読むことができます。巨石紀行や物語談義などの雑記もお楽しみください(^^)

 

☂[9] 第1章 同居人の留守 (9)(改)18禁? 

注:大したことはありませんが、一応18禁でお願いします。


「真ちゃん、今日は機嫌が悪いのかと思ったわ」
 ママの名前は深雪と言ったが、本名かどうか分からなかった。年齢も聞いたことがないが、肌の張り具合からは三十を越えたあたりなのだろうか。

 週末ではなかったが店にはそこそこの客が入っていて、テーブルはほとんど埋まっていた。
 カウンターには五人が座れるようになっていて、テーブル席は、座ると肩より幾分か低いだけの仕切りで三つの区画に分けられいた。カウンターには真の他に一人、髪に白いものが混じり始めた年配の上品な男性が座っている。
 ほんのりと赤みを帯びた照明は、こじんまりとした空間を穏やかに包み込むように見せながら、その半面毒を振りまくような気配を併せ持っている。この気配が男たちに心の奥の本音を吐き出させる。それを心地よく思って男はここに通い、女はそれを包み込む。

 店には五人ほど女の子がいて、交替で二人、あるいは三人が詰めている。それなりに美人で上品な女の子ばかりで、他の店ほどには年齢は若くないようだ。だが、会話をしてみると頭のいい女性ばかりだとわかる。彼女たちはテーブルをそれぞれ世話していて、忙しいはずだがそのような素振りも見せない。

 それでも、ちらちらと彼女たちが真を気にしているのが分かる。
 この店に来る客の中で真は極めて若い。大体、ここに通うほどの金をつぎ込める若い男はそれほど多くはない。真もあまり金を持っていそうにはないことを、彼女たちは嗅ぎ分けている。だから真がここに来ることができるのは、ママのお気に入りだからということも知っているはずだった。

 それでも、若いというだけでも真が彼女たちにとって魅力的な男であることは違いなかったろうし、真にもその自覚があった。どこか野生的な気配のある視線、明らかに異国人の血が混じっていると分かる髪と瞳の色、物欲しげに通っているはずなのに、ベッドの上以外ではクールで女を欲しがっているとは思えない態度が、男を値踏みし慣れた女たちにも好意をもって迎えられているようだった。
 勿論、真がママの男でさえなければ、だ。

 真がママの男であることを、皆が思っていても店の中で口に出すことはなかった。ママのパトロンだという噂の代議士のことも同様だった。
「雑誌のことか?」
「そうね」
「今日はどこに行ってもその話から逃げられない」

 上品な薄紫の着物を装った深雪は、真の前に薄めのウィスキーを作って出した。
 深雪は真がここに来るのは寝たいという合図だと知っていて、濃い酒を飲ませて男を使い物にならないようにすることはなかった。真がそんなには酒に強くないことを深雪は知っているはずだし、彼女のほうもベッドに入るときには真が一瞬で興奮するくらいに濡れているので、多分真が店のドアを開けた時点でその気になっていると思われた。
 今カウンターを間に挟んでいても、深雪の着物の裾の向こうの白く美しい脚の間が濡れていると思うと、自分の股間が熱く重くなってくるのを感じる。

 そういうカウンターの端のやり取りを、他の客が意味ありげに、そしていくらか敵意を持った視線で見つめていることを、時々露骨に感じる瞬間がある。
「本当に恋人じゃないの?」
「冗談だろう。知ってるくせに」
 もしも噂どおり同居している男が恋人なら、女を求めて街に出てくるわけがない。
「そうかしら」
 深雪は薄くて形のいい唇を優雅に動かして呟く。その唇が自分のものを咽の奥深くにまで咥えて、意外にも厚くて器用な舌で先を舐めてくれるのを今から待つ時間が、途方もなく長く感じる。

「大体、記事を読んで初めて知ったことがいくつもある。正確な年も知らなかったし、あいつの仕事の内容なんて、聞いてもまともに答えてもらったこともない」
 深雪はくすくすと笑った。
「ほら、そうやって愛情に飢えた子供みたいなことを」
 真はグラスを持った手を不意に強張らせた。
 深雪には時々何かを見透かされているような気持ちになる。もしかして篁美沙子が言っていたのは葉子のことではなかったのかもしれないと不意に思ったのも、抱き合っているときに深雪が言った何かの一言がきっかけだった。

 考えてみれば美沙子は、今思い出しても多感の塊だったような真の高校時代を共有していた相手だ。もしも深雪がたったこれだけの時間で真の心の内を見透かしたのだとしたら、美沙子があの頃の真の感情に気が付かなかったとは思えない。
 ここに来るのは、同居人が隣で眠っているので自分で自分を処理できないからではないのだろう。それを女たちは何と敏感に察知することか。

 カウンターに座っている別の男のグラスを気遣って、深雪が真の傍を離れた。真のグラスの琥珀が煌めきの位置を変える。何かをやり過ごすように目を伏せると、僅かな距離の中で交わされている会話の響きが、理解できない異国の言葉に変わっている。
 その時、我慢の限界かと思うほど自分のものが熱くなってきていることを感じた。それが、深雪が自分以外の男を気に掛けたからだと思いたかった。

 店がようやく看板の灯りを消したのは二時を廻った頃だった。
 他の客たちが真の存在を意識してわざと帰らないようにしているのではないかと思うほど、長い時間だった。女の子達が、珍しくまだ店を出ない真を気にしていたが、深雪は彼女たちに、後のことはいいから帰りなさいと声を掛けた。珍しく、というのは、大抵店の終わりかけにはママが真を外で待たせるか、先にいつものホテルへ行かせているからで、今日のように最後まで店の中で待たせることはなかった。

 深雪が看板の灯りを消してドアを閉めたとき、真はもう立ち上がっていた。
 強引に深雪の身体を引き寄せ唇を吸い、我慢ができないことを知らせるように自分のものへ彼女の手を導いた。そのまま一番傍のテーブル席のソファへ倒れこむように深雪を抑えつけると、着物の裾を割る。
 着物の下に深雪は下着をつけていなかった。それは彼女のほうも真を待っていた証拠だと思った。濡れている脚の間に手を入れた途端、スラックスの中で射精しそうになる。深雪は冷静とも見える表情で真のベルトに手を掛け、僅かな金属音をさせてそれを外した。
 金属音は湿った空気の中で角を落とされたように曇って、真の耳の奥でいつまでもごそごそと残っていた。

 深雪の細い指が絡みつくように真のものを下着の中から出して、やんわりと撫でるようにしたが、我慢を超えていた真は、構っていられなくてその手を払いのけ、既に真を迎え入れる準備ができているように湿った彼女の中へ自分自身を埋めた。
 足袋を履いたままの深雪の素足は、薄赤い照明の中で何時になく扇情的で、真はその両脚を抱えるようにして、そのまま彼女の一番深いところまで突いた。微かに深雪の顔が苦痛に歪んだように見えたが、直ぐにその唇から吐息が漏れ出し、絡みつく蛇のように腕が真の腰を抱き寄せる。こうしてただ挿入するだけで、身体の奥から湧き出すような快感が頭の中心にまで昇ってくる。深い海の底の圧力で身体中の細胞が歪められ、一番敏感な受容体の全てを弄っている。






小説を書くとき、ものすごい勢いで書いていることが多いいです。
時々は歯を食いしばって書いている。
ちなみに、三味線を叩いている時も歯を食いしばっているし、トレーニング中も同じ。
歯医者に、歯に縦縞がある(ちょっと表現が違ったかも)と言われまして、歯を食いしばりすぎだから、力を抜きなさい、そのうち割れるよ、と言われました。

うーん、でも力が入っちゃうんです。

で、突っ走るものだから、後で手直しが大変。
文章や表現の重なり、文章の癖(副詞とか形容詞の位置に癖があって…)、色々難点があるので、後から後から気になることが出てくるのです。

毎日新作を連載している人ってすごいなぁと思います。
きっと一語一語、気を付けて集中しながら書いておられるのだろうなぁ、と……
私もそうしたいけれど、書き出したら止まらないし、書かない時は書かないし……

でも、ものを書くのは想像力ではなく筋力、と文章教室で習いました。
毎日書けば、筋力は鍛えられると。
年を取ると、1日トレーニングをサボると身体の筋力がすぐ落ちるように、小説の筋力も落ちるのが早くなるのかなぁ。

ならば、一歩ずつ。
関連記事
スポンサーサイト

Category: ☂海に落ちる雨 第1節

tb 0 : cm 0   

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://oomisayo.blog.fc2.com/tb.php/88-c261677c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)